世良田東照宮

世良田東照宮：徳川氏ゆかりの地

群馬県太田市世良田町に鎮座する世良田東照宮は、徳川家康公を「東照大権現」としてお祀りする神社です。その創建は、元和3年（1617年）に家康公の遺骸が駿河国久能山から下野国日光へ改葬された際に遡ります。寛永21年（1644年）には、日光東照宮奥社の社殿がこの地に移築され、新たな社殿として創建されました。現在、世良田東照宮は太田市内の社寺や館跡とともに「新田荘遺跡」として国の史跡に指定されています。

歴史

世良田東照宮の地は、新田氏の開祖である新田義重公の居館跡と伝えられています。隣接する長楽寺には義重公の供養塔があり、歴代の新田氏惣領家から手厚い庇護を受け、大いに栄えました。徳川氏は、新田氏から分かれた世良田氏の末裔を自称していたため、この地は徳川氏にとってもゆかりの深い場所となりました。

寛永16年（1639年）頃、3代将軍・徳川家光公は、天海大僧正に長楽寺の再興を命じました。その際、家光公は日光東照宮の造替を行っており、徳川秀忠公が造営した日光東照宮奥社の社殿を世良田に移築したとされています。寛永19年（1642年）頃から工事が始まり、本殿の新築、神廟（本地塔）・拝殿・唐門の移築を経て、寛永21年（1644年）10月11日に遷宮が執り行われました。遷宮時には、後水尾上皇から勅額が下賜されました。

江戸時代には、世良田東照宮に神領200石が与えられ、歴代の将軍によって度々修繕が行われました。修復の際には、幕府役人が参拝し、身分に応じて拝礼場所が定められていました。

明治時代に入り、神仏分離令によって長楽寺から分離。明治10年（1877年）に村社、明治12年（1879年）に郷社へと列格しました。

境内

世良田東照宮の境内には、歴史的価値の高い建造物や文化財が数多く存在します。

本殿（重要文化財）：寛永21年（1644年）の創建当時の建築様式を今に伝える一間社流造銅瓦葺の建物です。内部には、徳川家康公の神像を納める厨子が安置されています。昭和の修復時には、狩野探幽の墨書が発見され、造営に関与していたことが明らかになりました。
拝殿（重要文化財）：桁行五間、梁間三間の入母屋造で、正面背面には軒唐破風が付いています。銅瓦葺の屋根が特徴的です。昭和の修復時に日光からの移築を示す墨書が確認され、元和年間（1615年 - 1624年）の建築と考えられています。
唐門（重要文化財）：間口1間2尺の四脚平唐門。拝殿とともに移築されたと伝えられていますが、史料による確定はされていません。
鉄燈籠（重要文化財）：元和4年（1618年）に秋元長朝（総社藩主）が制作させた旨の銘があります。明暦4年（1658年）に秋元喬知が奉納したと伝えられています。高さ4.95メートルの堂々たる姿は、訪れる人々を魅了します。
石灯籠：唐門前の1対は正保2年（1645年）に老中・阿部忠秋が奉納。拝殿前には宝暦13年（1763年）に松平朝矩、寛政8年（1796年）に松平直恒、天保15年（1844年）に松平忠国が奉納した石灯籠があります。

文化財

世良田東照宮には、以下の文化財が所蔵されています。

重要文化財（建造物）：本殿、唐門、拝殿
重要文化財（工芸品）：太刀（銘了戒）（附 銀造沃懸地太刀拵）
群馬県指定重要文化財：板面著色三十六歌仙図

アクセス

自動車：東北自動車道館林ICより約50分、関越自動車道花園ICより約30分、北関東自動車道伊勢崎インターチェンジより約20分
電車：JR東日本高崎線深谷駅よりタクシーで20分、東武伊勢崎線世良田駅より徒歩15分、太田駅よりタクシーで35分

世良田東照宮は、徳川家の歴史と文化に触れることができる貴重な場所です。ぜひ一度、足を運んでみてください。

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