長江浄水場

長江浄水場について

長江浄水場（ながえじょうすいじょう）は、広島県尾道市に位置する重要な浄水処理施設であり、尾道市水道局により管理されています。この浄水場は、尾道市唯一の現役浄水場として2013年の時点で稼働し続けています。1925年に設立された歴史ある施設であり、その主要な構造物は国の登録有形文化財としても指定されています。

周辺環境とアクセス

浄水場は尾道市の南東に位置し、近隣には尾道市中心部があります。また、東側には長江通り（広島県道363号栗原長江線）と接し、北側は広島県立尾道北高等学校や尾道市立長江中学校、尾道市立栗原中学校などの文教地区となっています。また、尾道市水道局は、広島県沼田川水道用水供給事業において坊士浄水場の管理を外部に委託しており、こちらの方が供給能力は高いとされています。

浄水場の特徴

長江浄水場は、全国的に珍しい扇型の配置が特徴です。この設計は、地域の地形に合わせて整備されたもので、敷地が長江通り「槇ヶ峠」頂上の約12メートル掘り下げられた狭小地に位置しています。野口技師が設計したもので、創設当時の形状がほぼそのまま残っています。

浄水プロセスは、久山田貯水池（久山田ダム）からの原水が長江浄水場内の「着水井」に流入し、そこから円弧状のパイプを介して「ろ過池」に導かれ、内部のろ過を経て「配水池」へと移動します。この水は配水管を通じて市内に供給されます。この流れの設計は、西宮市の上ヶ原浄水場とも類似しており、水野技師の手によるもので、過去の視点を受け継いでいます。

主要施設の詳細

1. 着水井

着水井は「源水池」とも呼ばれ、鉄筋コンクリート造であり、天端には花崗岩処理が施されています。サイズは竣工当初のもので、現在とは異なる可能性がありますが、全体的にその堅牢さは今も変わりありません。

2. ろ過池

ろ過池は鉄筋コンクリートで作られており、外半径48メートル、内半径24メートルの構造を持っています。4つの池に分かれており、その深さも配慮された設計が施されています。

3. 配水池

配水池もまた鉄筋コンクリートで造られ、半径14メートル、中央での塩素注入など配水機能がしっかりと計算されています。建物のデザインにはアール・デコの影響が見られ、視覚的にも印象的です。

4. ベンチュリー上屋

ベンチュリー上屋は、かつて「量水室」として機能し、流量を計測するための設備が設置されていました。現在もその形状は残されており、歴史的な価値を有しています。

歴史的背景

尾道は古くから商業港として栄え、明治時代にも備後地方における商業中心地として重要な役割を果たしてきました。しかし、地域内の良質な水が不足していたことから、上水道の整備が早くから課題として認識されていました。1913年には井戸水を水源にしようとした試みがありましたが、聖域に適した水源が見つからず不発に終わりました。そこで、貯水池を水源とした布設案が検討され、1920年には名高い工学博士が顧問に迎えられ、計画が具体化していきました。1925年には竣工し、同年には通水が開始されました。この事業の一部は地元の実業家からの寄付で賄われ、地域住民にとっても重要なインフラとしての役割を果たしています。

交通アクセス

浄水場へのアクセスは主におのみちバスを利用することができます。「長江中学校前」または「北高前」バス停からは徒歩でアクセス可能です。

長江浄水場は、地域の水道供給の歴史と共に多くの人々に支えられ、現在もその重要性を保ち続けています。この革新的な設計と長い歴史を持つ施設は、尾道市にとって欠かせない存在です。

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