長沼 (長野市)

長野市長沼地区

長沼地区は、長野市北東部に位置し、千曲川沿いに南北に細長く広がる地域です。かつては長沼村として存在し、その名は千曲川の流路によって形成された沼の形に由来するとされています。中世には長沼城が築かれ、城下町として、また江戸時代には北国街道の宿場町として栄えました。

歴史

長沼地区は、室町時代に信濃島津氏が長沼城を築いたことに始まり、江戸時代には長沼藩が置かれましたが、1688年に廃藩となりました。その後、幕府領となり、明治時代に入り町村制が施行されると、長沼大町、長沼穂保町、津野村、赤沼村が合併し、長沼村が誕生しました。1954年には長野市に編入され、現在に至ります。

長沼地区は、千曲川の恩恵を受ける一方で、水害にも度々苦しめられてきました。特に昭和初期までは、数年に一度の頻度で洪水に見舞われ、住民は常に水害の脅威に晒されていました。しかし、その一方で、水を治め、産業を振興させる努力も続けられてきました。

地理

長沼地区は、東端を千曲川、北西端を浅川が流れ、川と川に挟まれた低地に位置しています。地区の中央部には、国道18号（アップルライン）が南北に走り、その東側には旧北国街道松代道にあたる県道368号線が並行しています。この地域は、かつて長沼城の城下町、そして北国街道の宿場町として栄え、現在でも旧街道沿いに集落が形成されています。一方で、それ以外の地域は、りんごを中心とした農地が広がっています。

人口

長沼地区の人口は、戦後の一時期には3,200人を超えていましたが、その後減少傾向に転じ、近年では2,000人を下回っています。特に、2019年の東日本台風による水害は、人口減少に拍車をかける要因となりました。長野市は、この人口減少に対応するため、移住支援策などを実施しています。

人口推移

1874年: 2562人
1880年: 2598人
1900年: 3067人
1905年: 2984人
1910年: 2890人
1915年: 2865人
1920年: 2406人
1925年: 2388人
1930年: 2403人
1935年: 2496人
1940年: 2614人
1947年: 3221人
1950年: 3210人
1955年: 3138人
1960年: 2988人
1965年: 2747人
1970年: 2692人
1975年: 2842人
1980年: 2923人
1985年: 2983人
1990年: 3039人
1995年: 3033人
2000年: 2891人
2005年: 2781人
2010年: 2653人
2015年: 2502人
2020年: 2181人

(令和5年3月1日時点)786世帯 1,937人

各地区の紹介

赤沼（あかぬま）

長沼地区の北部に位置し、浅川と千曲川に挟まれた地域です。旧北国街道沿いに集落が形成されているほか、赤沼ニュータウンなどの住宅地があります。また、りんごなどの果樹園が広がっており、アップルライン沿いには直売所が点在します。地区内には、北陸新幹線車両センターも所在しています。

世帯数: 367世帯
人口: 875人

大町（おおまち）

長沼地区の南部に位置し、東端を千曲川が流れます。旧北国街道沿いに集落が形成されており、西厳寺などの寺院が集中しています。アップルライン沿いには工業団地が広がる一方、農地も多く残っています。

世帯数: 200世帯
人口: 529人

津野（つの）

長沼地区の北中部に位置し、千曲川沿いの地域です。集落は旧北国街道沿いに形成されており、その他は農地が大部分を占めています。地区内には、長沼小学校があります。

世帯数: 59世帯
人口: 161人

穂保（ほやす）

長沼地区の南中部に位置し、千曲川沿いの地域です。旧北国街道沿いに集落が形成されており、長沼城跡や長野市役所長沼支所があります。アップルライン沿いには、工場や配送センターなどが立ち並びます。JAながのの農産物直売所も所在します。

世帯数: 160世帯
人口: 372人

交通

長沼地区内では、長野市乗合タクシーが運行しており、各地区を結んでいます。

防災

長沼地区は、千曲川沿いの低地であるため、水害のリスクが高い地域です。長野市が作成した洪水ハザードマップでは、最大規模の降雨の場合、地区のほぼ全域が10〜20メートルの高さで浸水すると想定されています。2019年の東日本台風では、実際に千曲川の堤防が決壊し、甚大な被害を受けました。この水害により、新幹線車両基地も浸水し、大きな損害が出ています。

脚注

参考文献

「角川日本地名大辞典」編纂委員会・竹内理三編『角川日本地名大辞典 20 長野県』角川書店、1990年7月18日。
国土交通省河川局 “信濃川水系河川整備基本方針”. (2008年6月). 2019年10月14日閲覧。
長野県公式ホームページ 現在の市町村名から合併の経過を調べる
成田篤信、半田要太郎編輯『長沼村誌』長沼村役場、1928年11月10日。

外部リンク

長野県上水内郡長沼村 (20B0090023) | 歴史的行政区域データセットβ版 - Geoshapeリポジトリ
長野市 長沼支所
長沼地区住民自治協議会
* 長野市 洪水ハザードマップ 4. 古里・柳原・浅川・朝陽・若槻・長沼・豊野地区周辺

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