長津湖の戦い

長津湖の戦い

長津湖の戦い（ちょうしんこのたたかい）は、1950年11月27日から12月11日にかけて、朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）の咸鏡南道、長津湖周辺で繰り広げられた朝鮮戦争の激戦です。この戦いは、国連軍と中国人民志願軍が初めて大規模に衝突した戦いとして知られ、「長津湖戦闘」とも呼ばれています。

戦いの背景

1950年秋、国連軍は38度線を越えて北上し、朝鮮人民軍を中朝国境近くまで押し込んでいました。国連軍は朝鮮半島全土の制圧を目指していましたが、中華人民共和国政府は国連軍の北進に対し、幾度となく警告を発していました。しかし、当時の国連軍司令官ダグラス・マッカーサーは、この警告を単なる宣伝と捉え、無視していました。長津湖周辺には、アメリカ海兵隊第1海兵師団を中心とする約17,000人の国連軍が配備されていました。

戦闘の経過

11月27日、長津湖周辺に展開していた国連軍に対して、中国人民志願軍が夜間奇襲を仕掛けました。最も中朝国境に近い柳潭里（ユダム二）にいたアメリカ海兵隊第5連隊と第7連隊は、中国人民志願軍の猛攻を受けました。ほぼ同時刻に、そこから約22キロ南に位置する下碣隅里（ハガルリ）の国連軍補給基地も同様に奇襲されました。

11月29日、下碣隅里よりさらに南にある古土里（コドリ）から、下碣隅里への増援部隊が派遣されました。そして翌30日、最前線にいた柳潭里の部隊に退却命令が下されました。

12月3日、柳潭里にいた第5海兵連隊と第7海兵連隊は、退却路上の要所である徳洞峠を守るフォックス中隊の援護を受けながら、下碣隅里まで退却しました。この際、アメリカ空軍は退却を支援するため、ナパーム弾による空爆を実施しました。

12月4日には、下碣隅里から古土里への南下が開始されました。その途中、「地獄火の谷」と呼ばれる場所で中国軍の激しい攻撃を受け、苦戦を強いられましたが、12月7日に古土里へ到着しました。この時点で、海兵隊員はすでに約3,000人が戦死していました。同じ頃、中国人民志願軍もまた、疲弊と消耗により撤退を余儀なくされました。

12月11日、国連軍は興南（フンナム）港に到着し、港湾設備を完全に破壊した後、海路で撤収しました。

戦いの影響

長津湖の戦いは、朝鮮戦争において仁川上陸作戦と並ぶ重要な転換点となりました。国連軍は多大な損害を被ったものの、中国人民志願軍の進撃を一時的に食い止め、その後の戦局に大きな影響を与えました。

長津湖の戦いを題材とした作品

映像作品

ドキュメンタリー『戦場の真実』シリーズ『長津湖の戦い』（ディスカバリーチャンネル、2013年）
映画『1950 鋼の第7中隊』（2021年）

関連項目

チョーシン (ミサイル巡洋艦)

参考文献

（参考文献リストは省略）

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