長渕剛LIVE

長渕剛初のライブアルバム『長渕剛LIVE』：飾らない魂の記録

1981年3月5日、日本の音楽シーンに新たな息吹を吹き込んだ一枚が誕生しました。それは、長渕剛の初のライブアルバム『長渕剛LIVE』です。このアルバムは、彼の飾らない生き様、そして音楽への情熱を余すことなく伝える、記念碑的作品となりました。

制作の背景：ファンの声に応えて

『長渕剛LIVE』の制作は、あるファンの手紙がきっかけでした。ファンから「なぜギター一本で演奏しないのか」という疑問が投げかけられたのです。この問いかけは、長渕剛自身の音楽観、そしてライブに対する姿勢を改めて見つめ直す契機となりました。

彼はステージを「自分の姿勢と本音、裸の生きざま」だと捉え、レコードを「一人のミュージシャンとしての音楽への挑戦状」と表現していました。そのファンの手紙は、この「裸の生きざま」をレコードで表現する、絶好の機会となったのです。そして、「ライブ盤以外に方法は無い」という結論に至り、『長渕剛LIVE』の制作が決定されました。

コンサートツアーとミリオンセラー

このアルバムの収録は、1980年から1981年にかけて行われた長渕剛コンサートツアー'80から抜粋して行われました。このツアーは、シングル「順子／涙のセレナーデ」のミリオンセラーという大きな成功を収めた後に行われたものです。しかし、続くシングル「ヒロイン」はヒットに繋がりませんでした。そんな中で、彼の音楽に対する真摯な姿勢は、このライブアルバムに凝縮されています。

アルバムの内容：アコースティックギター弾き語り中心

『長渕剛LIVE』は、1979年の『風は南から』から1980年の『乾杯』までの3枚のアルバムからの選曲に加え、ライブ限定のオリジナル曲も収録されています。そして、特徴的なのは、そのほとんどが長渕剛本人のアコースティックギター弾き語りである点です。彼の魂のこもった歌声とギターの音色が、リスナーをライブ会場へといざないます。

音楽性と評価：フォークシンガーとしての完成形

音楽評論家からは、このアルバムが、観客との一体感を重視した、長渕剛のフォークシンガーとしての完成形を示すものだと評価されています。即興的な盛り上がりや、観客とのコミュニケーションを通して生まれる独特の熱気は、ライブならではの臨場感を余すことなく伝えています。

また、ジャケット写真についても、セピア色の写真と、長渕剛の当時の中性的な雰囲気が、のちの彼のイメージとは異なる魅力を感じさせると評されています。

チャート成績とリリース形態

オリコンチャートでは最高4位を記録し、約11万枚を売り上げるヒットとなりました。LP盤とカセットテープで発売され、LP盤には4Pのステージフォトと、アンコールシングル「乾杯」「さようならの唄」が付属していました。後にCD化もされ、2006年には24ビット・デジタルリマスター版もリリースされました。

収録曲：初期の名曲とライブ限定曲

このアルバムには、「巡恋歌」「順子」「ひざまくら」「夏祭り」「祈り」「暗闇の中の言葉」「俺らの旅はハイウェイ」「二人歩記」「しゃぼん玉」「帰って来いよ」「俺らの家まで」「逆流」といった、長渕剛の初期の名曲が収録されています。さらに、ライブでしか演奏されない楽曲も含まれており、彼の幅広い音楽性を垣間見ることができます。

スタッフ：豪華なメンバーが集結

『長渕剛LIVE』には、長渕剛自身だけでなく、石川鷹彦、谷口陽一といった実力派ミュージシャンが参加しています。彼らの卓越した演奏が、アルバム全体をさらに高みへと引き上げています。

まとめ：普遍的な魅力を放つ名盤

『長渕剛LIVE』は、単なるライブアルバムではありません。長渕剛というアーティストの、その時代の生き様、音楽への情熱、そして観客との一体感を凝縮した、まさに彼の音楽人生の重要なマイルストーンと言える作品です。彼の初期の音楽に触れたい方、そしてライブの熱気を体感したい方にとって、必聴の一枚と言えるでしょう。

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