俺らの家まで

長渕剛「俺らの家まで」：軽快なカントリー調と、昭和の恋愛観が織りなす名曲

1979年3月5日、長渕剛の2枚目のシングル「俺らの家まで」が、ファーストアルバム『風は南から』と同時リリースされました。この曲は、カントリーミュージック風の軽快なポップナンバーで、男性の浮気をテーマにしたユニークな歌詞が特徴です。

音楽性：カントリー＆ウェスタン調の軽快なサウンドと、飾らない歌詞

「俺らの家まで」は、フィドルやバンジョーなどを取り入れたカントリー＆ウェスタン調のアレンジが印象的です。軽快なリズムと、浮気を認めた上で恋人に「機嫌を直して家まで来て」と懇願する歌詞が絶妙なバランスで融合し、聴く者を惹きつけます。

音楽情報サイト『CDジャーナル』では、「浮気を認めた上で恋人に「機嫌なおして」と歌いかけるライト・ポップ・ナンバー。フィドルやバンジョーなどを駆使したカントリー＆ウェスタン調の軽快なバッキング」、「女好きな男が“浮気の一つくらいするもんさ”と開き直りながらも、機嫌直して家まで来てと懇願する。昭和な恋愛観とカントリー風な曲風」と評されています。飾らない歌詞と、どこか懐かしさを感じさせるメロディーが、昭和時代の恋愛観を想起させます。また、ファルセットも純粋で、曲全体の雰囲気にマッチしています。

レコーディング：ファーストアルバム制作の延長線上

『風は南から』のレコーディングは、1978年12月に完了する予定でしたが、「俺らの家まで」だけは翌1979年1月6日までずれ込みました。このエピソードは、楽曲制作における細部へのこだわりを感じさせます。

ライブパフォーマンス：観客総立ちの伝説と、演奏頻度の変遷

「俺らの家まで」は、ライブにおいても重要な役割を果たしました。初めてライブで演奏された際、それまで座って聴いていた観客が総立ちになったという逸話があり、初期の長渕剛のライブでは定番曲として頻繁に演奏されました。しかし、その後、長渕剛自身の声質や音楽性の変化に伴い、ライブでの演奏頻度は減少しました。

それでも1988年以降、再び演奏される機会が増え、現在ではライブでの演奏率は16位と、高い人気を誇っています。ライブでは、「機嫌なおして」の後にファンが「ツヨシー！」と叫ぶのが恒例となっています。

1979年1月28日には日本テレビ系の音楽番組『コッキーポップ』に出演し、「いつものより道もどり道」と共に「俺らの家まで」を演奏しています。

カバー：柳葉敏郎のオーディション挑戦

意外なエピソードとして、俳優の柳葉敏郎が、素人時代にオーディション番組『スター誕生！』のテレビ予選で「俺らの家まで」を歌唱したことがあります。結果は300点に届かず不合格でしたが、この出来事が劇団ひまわり入団のきっかけとなり、俳優としての道を歩むことになります。

収録作品：数々のアルバムに収録

「俺らの家まで」は、ファーストアルバム『風は南から』をはじめ、『FROM T.N.』、『いつかの少年』、『Tsuyoshi Nagabuchi All Time Best 2014 傷つき打ちのめされても、長渕剛。』など、多くのアルバムに収録されています。ライブ音源としても、『長渕剛LIVE』、『SUPER LIVE IN 西武球場』、『長渕剛 ALL NIGHT LIVE IN 桜島 04.8.21』などに収録されています。

まとめ：時代を超えて愛される名曲

「俺らの家まで」は、軽快なカントリー調のサウンドと、素直で飾らない歌詞、そしてライブにおける観客との一体感が生み出す熱狂が魅力の楽曲です。昭和の恋愛観を色濃く反映しながらも、時代を超えて聴き継がれる名曲として、長渕剛の音楽史において重要な位置を占めています。その魅力は、これからも多くのファンを魅了し続けることでしょう。

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