長瀬喜伴

長瀬喜伴（ながせ よしとも / きはん、1912年2月18日 - 1966年6月16日）は、昭和時代に活躍した日本の脚本家です。

生涯

東京府東京市下谷区（現在の東京都台東区）で生まれ、東京府立第一商業学校、横浜専門学校商科を卒業しました。1935年に松竹蒲田脚本研究所に第4期生として入所し、脚本家としての道を歩み始めます。1937年には松竹大船脚本部に所属し、斎藤良輔のもとで助手を務めました。

1938年、清水宏監督の「新家庭暦」で初めて一本立ちの脚本家としてデビュー。以降、家庭劇的なドラマ展開を基調とした“大船調”メロドラマで才能を発揮し、娯楽作家として広く知られるようになりました。太平洋戦争末期の1944年には近衛連隊に入隊し、1945年に小笠原諸島の父島で終戦を迎えています。

戦後、1954年にフリーランスとなり、東宝、大映、東京映画などで、主に娯楽映画の脚本を数多く担当しました。また、親友であった新藤兼人が主宰する近代映画協会にも参加し、会計事務を担当するなど、協力者として映画製作を支えました。

1951年の久松静児監督作品『喜劇 駅前団地』以降、「駅前シリーズ」全15作品の脚本を手がけたことで、その名を知られるようになりました。しかし、1966年に同シリーズの『喜劇 駅前番頭』を執筆するため、常宿としていた箱根湯本の温泉旅館「清光園」に滞在中、脳出血を発症し、53歳という若さで急逝しました。

長瀬喜伴は、戦前・戦後を通じて、日本の映画界において重要な役割を果たした脚本家の一人です。彼の作品は、当時の社会や人々の生活を描き出し、多くの観客に娯楽と感動を与えました。特に「駅前シリーズ」は、日本映画史に残る人気シリーズとして、今もなお多くの人々に愛されています。

彼の作品は、単なる娯楽作品としてだけでなく、当時の社会情勢や人々の心情を反映した貴重な資料としても評価されています。長瀬喜伴の脚本は、ユーモアとペーソスに満ちており、観る人に温かい気持ちを与えます。彼の作品は、日本の映画史において、重要な位置を占めています。

長瀬喜伴の才能と功績は、後世に語り継がれるべきものであり、彼の作品は、これからも多くの人々に愛され続けることでしょう。

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