長禅寺 (旭市)

長禅寺の紹介

長禅寺は、千葉県旭市の野中に位置する、真言宗智山派に属する寺院です。山号は金剛山で、その本尊は愛染明王です。この寺院は、1401年（応永8年）に長範によって設立され、江戸時代には多くの末寺や門徒寺院を有するなど、地域に深く根付いた存在となっていました。

歴史・背景

長禅寺の歴史は長いものですが、特に江戸時代にはその名声が高まりました。多数の信者を集め、多くの関連寺院も運営されていました。その後、長禅寺は1553年に焼失するトラブルに見舞われましたが、再建され、以降も信仰の対象として地域住民に親しまれています。

文化財の紹介

長禅寺は旭市の指定有形文化財として、以下の3つの貴重な財産があります。

1. 愛染明王像： 昭和45年9月19日に指定。この像は1569年に京の仏師・小河浄慶によって制作されたもので、寄木造の仏像です。一見すると怒りの表情ですが、内面は深い慈悲を持つとされ、特に縁結びの仏として広く信仰されています。さらに、この像の胎内からは1565年に書かれた墨書が発見されており、寺の焼失や大規模な冷害による多くの餓死者について記されています。

2. 長禅寺本堂欄間彫刻： 平成11年4月10日に指定。これは1798年に本堂再建の際に寄進された彫刻で、地元の地主が手がけました。彫刻は、龍が舞う様子を表現した3面の「龍雲」と、獅子と牡丹を題材にした6面の浮き彫りで構成され、彫刻技術の高さが伺えます。

3. 不動明王立像： 平成16年8月1日に指定。檜材から作られたこの像は、平安時代から鎌倉時代初期に制作されたとされ、その後1452年に金剛仏師延恵によって修復された記録があります。寺は永禄8年に焼失していることから、この像が他の寺から移された可能性も考えられています。

伝承と地域の文化

長禅寺には、ネコとその兄弟ネコに関する興味深い伝説があります。このネコたちは寺に住んでいた大ネズミを退治し、境内の池は住職がそのネズミに槍で仕留めた際、その血を洗った池だと伝えられています。この伝説は、地域における寺院の文化的役割や、動物との関わりを象徴しています。

所在地とアクセス

長禅寺は千葉県旭市野中2042-1に位置しています。地元住民にとっては親しみ深い場所であり、観光客にとっても歴史的・文化的な興味を引くスポットです。長禅寺を訪れることで、千年を超える歴史を感じながら、貴重な文化財に触れることができます。

長禅寺は地域文化の守り手として、これからも多くの人々に愛され続けることでしょう。

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