長考

長考：熟考か迷いの表れか？

囲碁や将棋といった思考型ゲームにおいて、次の手を決めるために時間をかけることを「長考」といいます。特に、非常に長い時間を費やす長考は「大長考」と呼ばれ、しばしば話題となります。

長考の意図

長考は、単に相手に時間をかけるための嫌がらせではなく、最善の一手を求めて多くの選択肢を検討する行為です。ゲームの目的である「勝利」を目指す上で、熟考することは当然と言えるでしょう。名棋士による長考は伝説として語り継がれることもしばしばあります。しかし、裏を返せば、事前に相手の動きを予測できていなかった、つまり苦しい状況に陥っていることを示唆しているとも解釈できます。そのため、必ずしも称賛される行為とは限りません。

長考に関する格言と名人の言葉

将棋界には「長考に好手なし」という格言が存在します。これは、長考は迷っている証拠であることが多いという経験則を表しています。羽生善治九段も同様の意見を述べており、長考は迷っている状態が多いことを指摘しています。持ち時間制ではない、親しい間での勝負などでは、マナーの観点からも長考は控えるべきとされています。

持ち時間と長考

持ち時間制のゲームでは、長考は後の時間不足を招きます。これは戦略上の大きなリスクとなります。時間配分は、ゲームにおいて非常に重要な要素であり、長考は常にその時間配分を圧迫する要因となるのです。

歴史に残る大長考

いくつかの記録的な大長考が知られています。

将棋: 2005年9月2日に行われた順位戦、青野照市九段対堀口一史座七段戦において、堀口七段の56手目に5時間24分という長考が記録されています。
囲碁: 時間無制限の対局では、星野紀氏が16時間の長考をした事例があります。持ち時間制では、1988年の本因坊戦挑戦手合で武宮正樹氏が5時間7分という長考をしています。
通信チェス: 通信チェスでは、一手にかかる時間が一日以上になることも珍しくありません。
郵便将棋・郵便碁: 郵便将棋や郵便碁は、長考しやすいシステムになっています。送付にかかる時間を考慮すれば、事実上、無制限の長考が可能となります。

まとめ

長考は、熟慮の末の好手となる場合もあれば、迷いの表れとなる場合もあります。ゲームの戦略、時間管理、そしてマナーという側面からも、長考は非常に重要な要素であると言えるでしょう。それぞれのゲームのルールや状況、そして対戦相手との関係性などを考慮しながら、長考の是非を判断していくことが重要です。

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