長良橋陸閘

長良橋陸閘の概要と歴史

長良橋陸閘（ながらばしりっこう）は、岐阜県岐阜市に位置する防災施設で、長良橋の右岸にある長良陸閘と左岸にある大宮陸閘から成ります。この地域では、1959年の伊勢湾台風や1960年の台風11号・12号による洪水により、市街地が水浸しとなった事例がありました。これを受けて、洪水対策のために陸閘が設置されたのです。

長良橋陸閘は、商用電源や発電機を使用して操作される大規模な構造を有し、周辺には約100ヵ所の陸閘が設けられています。特に、長良川右岸の鵜飼屋地区には堤防本堤と防水壁があり、左岸の川原町地区にも複数の設備があります。これらの施設は、河川の増水に伴う洪水から地域を守る重要な役割を果たしています。

陸閘の機能と運用

長良陸閘および大宮陸閘は、長良川の水位が18.94mに達すると閉鎖作業を開始し、水位が19.74mを超えると完全閉鎖となります。この制度は1976年の水害時に初めて適用され、その後も2002年までは19.86mでの全閉が行われていました。特に2004年の台風23号や2018年の豪雨による場合は、この全閉が実施され、施設の重要性が再確認されました。

陸閘の設置と改築

長良橋陸閘の歴史は1961年に始まります。大宮、長良の両陸閘の建設が着工されたのはその年の10月で、翌1962年3月には設置が完了しました。1976年の9.12水害では両陸閘が初めて全閉され、以降の運用において重要な役割を果たしています。

さらに、2001年の大宮陸閘は国道256号の渋滞対策として全面改築が施され、老朽化が進んでいた長良陸閘についても2007年から2008年にかけて国土交通省により全面改築が行われています。

構造と性能

• - 長良陸閘：右岸に位置し、プレートガータ構造式鋼製横引きゲート1門を備えています。高さは3.800m、長さは24.800mあり、開閉速度は3.1m/分です。使用されているゲートは丸徳鉄工が製作し、施工は巴産業が担当しました。老朽化に伴い改築後には、門の一部が展示されています。

• - 大宮陸閘：こちらは左岸に位置し、鋼製の両開式横引きゲート2門を備えています。高さは3.170m、長さは25.000mで、開閉速度は3.0m/分です。この施設も丸徳鉄工によって製作され、デザインにおいて岐阜城にちなんだものが採用されています。

水防訓練と地域貢献

毎年、長良橋付近では出水期前に地元水防団による水防訓練が行われ、陸閘の定期点検が行われています。これにより、洪水時の対応力を高めるとともに、地域住民への防災意識の普及に寄与しています。この訓練は重要な地域活動であり、実施は通常深夜に行われるため、周囲に配慮しての運営が求められます。

まとめ

長良橋陸閘は、岐阜市における洪水対策の中心的な役割を果たしており、設置後数十年にわたりその果たすべき使命を担い続けています。その運用、機能、歴史を理解し、地域全体での防災意識を高めることが求められています。

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