長谷川堯

長谷川堯の生涯と業績

長谷川堯（はせがわ たかし、1937年6月16日 - 2019年4月17日）は、日本を代表する建築史家であり建築評論家でした。島根県出身で、武蔵野美術大学の名誉教授として活躍し、数々の受賞歴を持つ彼は、日本の建築界に多大な影響を与えました。

幼少期と教育背景

長谷川は、島根県八束郡玉湯村（現在の松江市）で生まれました。彼の家族は玉造温泉の老舗旅館『保性館』を営んでおり、彼自身はこの温泉地で育つ中で、独自の文化と環境に触れました。松江高等学校を卒業後、上京し、早稲田大学の文学部に進学し美術史を学びました。卒業論文では、近代建築の巨匠であるミース・ファン・デル・ローエやル・コルビュジエに言及し、その内容は雑誌『国際建築』にも取り上げられるほどでした。

建築評論家としての活動

1960年に早稲田大学を卒業してから、彼の評論活動は始まりました。特に1972年に発表した著書『神殿か獄舎か』は、その内容が建築界に衝撃を与え、以降のキャリアにおいても重要な位置を占める作品となりました。長谷川は近代建築の記念碑性や合理性に疑問を投げかける論考を多く発表し、この視点は建築界に新しい風を吹き込みました。同じく、1975年に発表した『都市廻廊』は毎日出版文化賞を受賞し、彼の名声を確立するきっかけとなりました。

1979年には『建築有情』を発表し、サントリー学芸賞を受賞。この書籍は、彼の深い知見と鋭い批評眼が光る内容となっており、多くの読者に影響を及ぼしました。1982年には武蔵野美術大学の教授に就任し、建築教育に貢献しました。また、1986年には日本建築学会賞を受賞し、長谷川の学問的業績が広く評価されるようになりました。

国際的な視野

1986年には家族とともにロンドンに居住し、この経験が彼の視野をさらに広げました。ロンドンでの生活は、彼の建築に対する視点に多大な影響を与え、後の著作や講演にも反映されました。彼は村野藤吾に関する研究でも知られており、日本の近代建築に関する貴重な知識を注ぎ込んでいました。

最晩年と遺産

長谷川堯は、2019年4月17日にがんのため亡くなりました。享年81歳。死後も彼の業績は日本の建築界で語り継がれており、その思想や研究は新世代の建築家や批評家たちに影響を与え続けています。

また、彼の長男は俳優の長谷川博己であり、彼の芸術家の家系は引き継がれていくことでしょう。長谷川の著作は多くの読者に愛され続けており、今後も彼の建築思想が生き続けることを期待しています。

主な著書

長谷川堯は、多数の著作を残しています。代表的な作品には『神殿か獄舎か』『都市廻廊』『建築有情』『生きものの建築学』などがあります。これらの書籍では、彼の独自の視点からの建築論が展開され、多くの読者に影響を及ぼしました。

もう一度検索