長谷川大紋

日本の政治家、そして実業家として知られる長谷川大紋氏は、1943年 6月3日に茨城県で生を受けました。実父である長谷川好三氏も茨城県議会議員や笠間市長を務めた政治家であり、親子二代にわたり茨城の政治に関わることとなります。長谷川大紋氏は笠間市で生まれ、現在の桜川市の一部にあたる旧岩瀬町で育ちました。法政大学法学部を卒業後、実業の世界に入り、1970年には父が設立した大泉砕石株式会社の代表取締役に就任しました。これが彼の実業家としてのキャリアの出発点です。

茨城県政での長いキャリア

1974年、長谷川氏は自由民主党の公認候補として茨城県議会議員選挙に立候補し、当選を果たします。以後、連続して9期もの間、茨城県議会議員を務め上げ、地方政治における重鎮としての地位を確立しました。県議時代には、第82代茨城県議会議長という要職を担ったほか、自由民主党茨城県連の幹事長や会長代行など、党県組織の要職も歴任し、県政の様々な課題に取り組みました。

国政への挑戦とその波乱

2007年、長谷川氏は国政への転身を決意します。これは、当時の茨城県選挙区選出の自民党参議院議員が郵政民営化関連法案に反対票を投じたため、党の公認が得られなくなり、その実質的な後継候補として党県連から内定を受けたことによります。改選数2の茨城県選挙区で、自民党県連は当初2人目の候補擁立も視野に入れていましたが、選挙戦を巡る状況は複雑でした。郵政民営化の影響で、これまで自民党の有力な支持基盤であった特定郵便局長OBの団体「大樹」の組織力が弱まり、また茨城県医師連盟が党の方針に反して野党候補を推薦するといった動きも見られました。こうした要因が重なり、自民党は2人目の候補擁立を断念し、さらに毎回得られていた公明党の推薦も見送られるという厳しい逆風の中での選挙戦となりました。しかし、長谷川氏は粘り強く支持を訴え、民主党候補に次ぐ得票数2位で当選を果たし、念願の参議院議員となりました。

国政の舞台に移った後、2009年の衆議院選挙で自民党が野党に転落すると、院内会派の再編が進みます。自民党が「自由民主党・改革クラブ」という会派を結成した際、改革クラブに茨城県第7区選出の中村喜四郎氏が所属していたことに反発した長谷川氏は、同年12月に自民党への離党届を提出しました。その後、一時的に無所属に近い立場で活動し、2011年の内閣総理大臣指名選挙では、自民党総裁であった谷垣禎一氏に投票するという行動を見せました。2012年8月には自民党からの働きかけを受け、参議院の院内会派「自由民主党・たちあがれ日本・無所属の会」に入会しましたが、この時点では党への復党には慎重な姿勢を示していました。しかし、同年11月には一転し、「お世話になった自民党に恩返しをして引退したい」との思いから復党を希望し、党本部に申請。これが認められ、再び自民党所属議員となりました。

政界引退

自民党に復党して間もない2013年1月、長谷川氏は記者会見を開き、同年7月に予定されていた参議院選挙への不出馬と政界からの引退を正式に表明しました。引退の理由としては、「体調を崩し、疲れを感じるようになった」ことを挙げています。そして、2013年 7月28日に参議院議員としての任期を満了し、長きにわたる政治家としての活動に終止符を打ちました。政界引退後の2015年春には、多年にわたる功績が認められ、旭日重光章を受章しています。

実業家としての顔「長谷川グループ」

長谷川氏は政治活動を行う傍ら、実業家としても精力的に活動しました。特に桜川市（旧岩瀬町）を中心に、多様な事業を展開する「長谷川グループ」を率いています。グループの中核企業である大泉砕石株式会社は、1963年に父・好三氏が設立した砕石会社で、富谷山などで採取した砕石を供給しており、北関東自動車道の建設など、インフラ整備にも貢献しました。また、うら筑波観光開発株式会社は、上野沼周辺で温泉施設「ゆららの湯」やゴルフ練習場「U-CITYゴルフガーデン」、ドライブイン「U-CITYつくば」などを運営し、地域のリゾート開発を手がけています。この他にも、石油製品販売、ビル管理、機械リース、生花販売など、地域経済に根差した幅広い事業を展開し、雇用創出や地域活性化に貢献しました。

長谷川大紋氏は、茨城県議会議員として9期、参議院議員として1期務め、地方と国の両面で政治に携わる一方、実業家としても地元に貢献した人物として、その足跡を残しています。

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