フンザ

フンザ：パキスタンの桃源郷

フンザは、パキスタン北西部のギルギット・バルティスタン州に位置する地域で、かつてはフンザ藩王国の領土でした。現在では、カリーマーバードを中心に観光地として知られています。この地域は、中国、アフガニスタンと国境を接し、雄大なカラコルム山脈の麓に位置しています。

地理と交通

フンザは、北に中国、北西にアフガニスタンと国境を接し、面積は10,101平方キロメートルです。中国のカシュガルへ続くカラコルム・ハイウェイ沿いに、カリーマーバード、ゴジャール、パスー村、グルミット村などの集落が点在しています。これらの集落は、観光ホテルや安宿が集まり、旅行者にとって重要な拠点となっています。

ワハーン回廊へは、カランダル峠やイルシャード峠を通って夏季のみアクセスできます。また、ワフジール峠は、アフガニスタンのバダフシャーン州と中国のタシュクルガン・タジク自治県を結ぶ重要なルートとなっています。

フンザの住民と文化

フンザの人々は、その長寿性について多くの議論を呼んできました。一説には、長寿の秘訣があると言われてきましたが、近年の研究では、長寿神話に過ぎないという見方が強まっています。しかし、フンザの人々が健康的な生活を送っていることは疑いようがありません。実際に、研究者のロバート・マクキャリソンは、フンザの人々の中に癌や胃潰瘍、虫垂炎などの病気を患っている人を見つけることができませんでした。

フンザでは、ブルシャスキー語が日常的に使われていますが、英語やウルドゥー語も通じます。ゴジャール地域では、ワヒー語も話されています。宗教的には、シーア派イスラームのイスマーイール派が主流で、パキスタンの他の地域とは異なる独自の文化を持っています。

産業と観光

フンザは、パキスタンと中国を結ぶアジア横断ルート上に位置し、7000m級のパミール高原の山々に囲まれた辺境の地であるため、外国人観光客や登山客に人気があります。特に、自然豊かな風景は、バックパッカーの間では「伝説の地」や「桃源郷」と称され、多くの人々を魅了しています。春には、杏の花が谷をピンク色に染め、その美しさは格別です。

パキスタンでは珍しく、フンザワインと呼ばれる飲料があり、旅行者の間で隠れた名物となっています。この地を愛して長期滞在する旅行者も少なくありません。以前は、日本の旅行会社によるツアー客も多く訪れていましたが、アメリカ同時多発テロ事件以降、訪問する観光客は減少傾向にあります。

「風の谷のナウシカ」のモデル？

日本人旅行者の間では、フンザがアニメ映画「風の谷のナウシカ」の「風の谷」のモデルになったという噂が広まっていましたが、スタジオジブリの公式見解や関係書籍ではそのような記述はなく、根拠は不明です。宮崎駿監督自身は、「風の谷のイメージは中央アジアの乾燥地帯にある」と語っており、フンザがモデルであるという説は否定されています。

自然災害

2010年1月4日には、フンザ川沿いの山腹斜面が地すべりを起こし、天然ダムが形成されました。この天然ダムは、アッタバード湖を形成し、川沿いの複数の集落やカラコルム・ハイウェイが水没するという被害をもたらしました。

その他の情報

フンザに関するその他の情報として、フンザ・ナガル戦争、ワフジール峠、Aghil Pass、クンジュラブ峠、ヤルカンド川、著名な探検家であるNey Eliasやフランシス・ヤングハズバンド、近隣のチトラルやヌーリスターン州などが挙げられます。

また、この地域は北緯36.316942度、東経74.649900度に位置しています。

フンザは、その美しい自然と独特の文化、そして長寿の神話で、訪れる人々を魅了し続ける場所です。

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