長谷川集平

長谷川集平（はせがわ しゅうへい）は、1955年兵庫県姫路市に生まれました。絵本作家、シンガーソングライターとして知られ、その活動は多岐にわたります。兵庫県立姫路東高等学校を卒業後、武蔵野美術大学に進学するも中退。大学時代から東京で生活していましたが、1991年に長崎市に移住しました。映画監督の浦山桐郎は叔父にあたります。

1976年、『はせがわくんきらいや』で第3回創作絵本新人賞を受賞し、絵本作家としてデビューしました。この作品は、森永ヒ素ミルク中毒事件という社会問題を背景に、日本人の生活や心理を大胆に表現し、斬新な絵本作法で大きな衝撃を与えました。長谷川自身もヒ素ミルクを飲んだ経験があり、そのことが作品に深く影響を与えています。

初期の作品である『とんぼとりの日々』、『トリゴラス』、『日曜日の歌』から、東日本大震災以降の『小さなよっつの雪だるま』、『れおくんのへんなかお』、『およぐひと』、『アイタイ』、『あなに』、『天使がいっぱい』、『むねがちくちく』、『ファイアー』まで、常に絵本の可能性を追求し、幅広い年齢層の読者に支持されています。また、『パイルドライバー』のようなプロレス絵本や、『ホームランを打ったことのない君に』のような野球絵本など、大衆文化を独自の視点で捉えた作品も手掛けています。

絵本制作に関する著書として『絵本づくりトレーニング』があり、実践的な入門書として評価されています。1977年には、松本猛とともに絵本モンタージュ論を提唱しました。1980年代からは、池袋コミュニティ・カレッジや岡山集平塾、長崎絵本セミナリヨなど、各地で講座や講演活動を行っています。1997年9月には、インターネット図書館「青空文庫」の呼びかけ人となりました。2002年から2018年まで京都造形芸術大学の客員教授を務め、後進の育成にも尽力しました。2016年からは、トクサ文庫の名前でAmazon Kindle版の電子書籍販売を開始し、新たな表現方法にも挑戦しています。

長谷川集平は、数々の賞を受賞しています。1976年に『はせがわくんきらいや』で第3回創作絵本新人賞を受賞したのを皮切りに、1988年には『プレゼント』（絵：村上康成）でボローニャ国際児童図書展グラフィック賞、1990年には『見えない絵本』で第20回赤い鳥文学賞、1992年には『石とダイヤモンド』と『鉛筆デッサン小池さん』で第14回路傍の石文学賞を受賞しました。さらに、2007年には『ホームランを打ったことのない君に』で第12回日本絵本賞、2012年には第34回姫路市芸術文化賞、2015年には『きみは知らないほうがいい』（挿絵担当。作：岩瀬成子）で第62回産経児童出版文化賞大賞を受賞するなど、その業績は高く評価されています。

主な作品として、絵本では『はせがわくんきらいや』、『とんぼとりの日々』、『トリゴラス』、『日曜日の歌』、『ホームランを打ったことのない君に』、『小さなよっつの雪だるま』、『れおくんのへんなかお』、『およぐひと』など多数。小説では『夢の隣』、『見えない絵本』、『石とダイヤモンド』、『鉛筆デッサン小池さん』などがあります。評論では『絵本づくりトレーニング』、『絵本未満』、『音楽未満』などがあり、挿絵作品も数多く手掛けています。また、CD作品として「シューヘー」、「チェロギタ・ロック」など、音楽活動も展開しています。

長谷川集平は、絵本という枠にとらわれず、多様な表現方法で社会や人間の本質を問い続ける、現代を代表する芸術家の一人と言えるでしょう。

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