長野びんずる

長野びんずる：市民が創り上げる夏の祭典

長野びんずるは、長野県長野市で毎年8月第一週の週末に開催される、市民参加型の夏祭りです。「長野市民祭」とも呼ばれ、長野市の夏の風物詩として、多くの人々から親しまれています。祭りの舞台は、国道19号線や長野大通り、中央通りといった市内中心部の道路で、期間中は歩行者天国となり、踊り手の熱気と観客の歓声で賑わいます。

歴史：伝統と革新の融合

長野びんずるのルーツは、江戸時代にまで遡ります。当時は「御祭礼（弥栄神社御祭礼）」という、日本三大祇園祭に数えられるほど有名な祭りが長野で行われていました。しかし、戦争の影響で中断を余儀なくされ、戦後に復活したものの、かつての賑わいを取り戻すには至りませんでした。

そこで、御祭礼を盛り上げるための前夜祭として、1959年に企業や商店による広告パレードが企画されました。このパレードは8年間続いた後、1967年には若者向けのイベント「火と水と音楽と若者たち」が開催されます。そして、1971年、これらの流れを汲み、現在の長野びんずるが誕生しました。祭りの名称「びんずる」は、長野市のシンボルである善光寺に祀られている「おびんずるさん」に由来しています。おびんずるさんに触れると病気や怪我が治るとの言い伝えも、地元では広く知られています。

内容：踊り、音楽、そして市民の熱意

長野びんずるの最大の特徴は、市民が主体となって祭りを創り上げている点です。市民有志や学校、病院、事業所などが「連」と呼ばれるグループを作り、祭りに参加登録します。踊りの基本は、しゃもじを打ち鳴らしながら踊るスタイルですが、各連ごとに趣向を凝らした創作ダンスやパフォーマンスを披露することもあります。飛び入りでの参加も歓迎されており、飛び入り連が用意されています。他の連への飛び入りは、事前に連のスタッフに確認するのが良いでしょう。

祭り期間中は、前夜祭と当日祭が開催され、両日とも市内中心部は歩行者天国となります。踊りの時間は18:00から19:00、または18:30から20:50までですが、それ以外にも、浴衣の女王コンテスト、チアリーディング、楽器演奏、路上パフォーマンス、福引など、様々なイベントが催されます。また、祭りの一週間前には、長野市篠ノ井地区で行われる篠ノ井合戦まつりでも、びんずる踊りが披露されます。

規模と反響：長野県下有数の夏祭り

2007年の第37回長野びんずるでは、226連、約1万1300人が参加し、踊りを披露しました。これは、県内最大級の夏祭りである松本ぼんぼんの約4割の規模に相当します。長野びんずるは、長野県下でも有数の規模を誇る夏祭りとして、県内外から注目を集めています。

近年の開催状況：コロナ禍の影響と対策

2020年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、祭りは中止となりました。2021年度は、人数制限、飲食ブースの廃止、巡航中の飲酒禁止といった感染症対策を講じた上で開催を予定していましたが、デルタ株、ラムダ株による感染拡大のため、年内の開催は見送られました。2022年度も、新型コロナウイルス第7波の影響で中止が懸念されましたが、実行委員会は可能な限りの感染防止策を徹底し、感染警戒レベルが長野市内で6に引き上げられた場合を除き、予定通りの開催を目指すことを決定しました。

長野びんずるは、市民の熱意と創造性によって創り上げられる、長野市を代表する夏の祭りです。その歴史と伝統を受け継ぎながら、常に新しい試みを取り入れ、進化を続けています。今後も、長野の夏を彩る祭りとして、多くの人々に愛され続けることでしょう。

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