長野桂次郎

長野桂次郎の生涯

長野桂次郎（ながの けいじろう）は、1843年9月16日に生まれた幕末・明治時代の通訳職に従事した人物です。彼は多くの異名を持ち、特に「トミー」として知られ、アメリカでの体験が大きく報じられました。

幼少期と教育

桂次郎は、江戸の小日向馬場に生まれ、旗本の家系に育ちました。彼は幼少期から英語を学び、1860年には万延元年遣米使節団に参加します。この使節団は、幕府の武士たちと共にアメリカを訪れるもので、彼は無給の見習い通訳「立石斧次郎」として挑みました。

アメリカでの人気

アメリカに渡ると、桂次郎は現地の人々から「トミー」と呼ばれ親しまれました。この愛称は、その魅力やユーモアから生まれたもので、船内での彼の活躍が記録として残されています。トミーは、使節団の中でも最も注目される存在となり、メディアに多く取り上げられました。特に彼の社交的で明るい性格が、アメリカの女性たちの間で評判となり、ラブレターやプレゼントを数多く受け取りました。

帰国後の活動

帰国後、桂次郎は米田姓に改名し、正式に通訳としての職を得ます。その後、開成所教授や外国奉行御書翰掛など多岐にわたって働きました。1868年に戊辰戦争に出兵し、その後も様々な職を経ていきます。

彼は1870年、金沢藩の洋学校で英語を教えるようになり、学生に対しても生活への指導を行いました。この時期には、教育者としての顔も持ちます。さらに、1871年には岩倉使節団に参加し、国際関係を深める役割を果たしました。

晩年と死

桂次郎は、歳月が流れる中で様々な職業を経験し、1889年にはハワイへ渡るなど、その人生は波乱に富んでいました。最終的には伊豆の戸田村に隠居し、1917年1月13日に86歳で亡くなります。彼の葬儀の際には、キリスト教の洗礼を受け、青山墓地に埋葬されました。

早逝後の再評価

桂次郎は、少年トミーとしてアメリカで一世を風靡したものの、その後は長きにわたり忘れ去られていました。しかし、1980年に『毎日新聞』で、彼の人気を示す「トミーポルカ」の楽譜が発見されたことにより、再び注目されるようになりました。

家族と子孫

桂次郎は多くの家族を持ち、彼の孫の桜井成広は青山学院大学で教授として活動しています。また、曾孫の長野智子はアナウンサーとしてメディアで活躍中です。

桂次郎の生涯は、時代を超えてさまざまな影響を残しました。彼の通訳としての功績やアメリカでの人気は、今もなお多くの人々に語り継がれています。彼の物語は、日本とアメリカの文化交流の一環として、今日においても興味深いものです。

もう一度検索