長野郷土史研究会

長野郷土史研究会について

長野郷土史研究会は、長野県の郷土史と歴史を愛する人々が集まる会です。その活動は、長野県内だけでなく、県外や海外にも及んでいます。研究対象は長野県全域にとどまらず、県境を接する地域や長野県と関わりの深い全国各地にまで広がっています。

歴史

研究会の始まりは、1958年に初代会長である小林計一郎氏が『善光寺と長野の歴史』を刊行した際、発行所名として「長野郷土史研究会」を使用したことに遡ります。1961年からは、史跡巡りや講演会などの活動を開始し、1964年には地域研究誌である機関誌『長野』を創刊しました。

2006年には、小林計一郎氏の息子である小林一郎氏が二代目会長に就任し、活動は小林計一郎氏の没後も継続されました。2014年には『長野』創刊50周年を迎え、2015年には『長野』300号を発行。2017年には副会長の小林玲子氏が姉妹団体「長野の絵解きを広める会」を設立しました。2023年には創立65周年を迎え、長年にわたり長野県の歴史と文化を支えています。

主な活動と役割

長野郷土史研究会は、「郷土史によるまちづくり」を実践しています。その活動は多岐にわたり、地域社会に深く根ざしています。

史跡巡り：観光地化されていない全国各地の史跡を巡り、地域の魅力を再発見する活動を行っています。これは、地域おこしにもつながっています。
講演会・講習会：会員や一般の人々を対象に、講演会や講習会を開催しています。特に古文書解読講座は多くの指導者を育成し、現在ではYouTubeも活用して古文書解読を広めています。
善光寺七福神の制定：具体的な「まちづくり」として、郷土史研究に基づいて善光寺七福神を制定。姉妹団体の「歴史の町長野を紡ぐ会」を立ち上げ、普及に努めています。
善光寺縁起の出版・絵解き：『善光寺如来縁起』を翻刻し、現代語訳と注釈を加えて出版。また、その縁起を絵にした「善光寺如来絵伝」の絵解きを復活させました。
絵解きの継承：善光寺の信仰が絵解きによって全国に広まったことに着目し、絵解きの復興に努めています。姉妹団体「長野の絵解きを広める会」を発足させ、近隣の寺院の絵解きも支援しています。
「日本一の門前町・善光寺表参道」の普及：2011年に出版した「善光寺表参道まち歩き」のマップを「日本一の門前町・善光寺表参道」と命名し、発信しました。
善光寺と門前町の伝説発信：『門前町伝説案内』『伝説の寺、善光寺』などを出版し、消えつつあった伝説を掘り起こして発信しました。
一茶の句碑建立：小林一茶がしばしば訪れた善光寺と門前町に注目し、長野市による九基の句碑の建立に協力しました。
伝統行事の調査と参加の呼びかけ：善光寺と門前町に伝わる数々の伝統行事を調査し、継承活動に尽力しています。

機関誌『長野』

1964年に創刊された機関誌『長野』は、長野県北信地域に事務所を置く地域研究誌としては最も長い歴史を誇ります。1966年には学術刊行物の認可を受けました。編集は小林計一郎氏から息子の小林一郎氏へ、さらにその息子である小林竜太郎氏へと引き継がれています。

『長野』には2000以上の論文や手記が掲載されており、その内容は多岐にわたります。特に善光寺関係の研究が多く、善光寺史研究には欠かせない資料となっています。また、小林一茶に関する研究も同様です。特集号では、飯綱・戸隠、飢饉・災害、山城・館などをテーマにしたユニークな企画が組まれています。会員の手記を集めた「太平洋戦争特集号」や「歴史の証言」は、貴重な歴史資料として評価されています。

『長野』は国立国会図書館や主要な図書館に収蔵されており、閲覧可能です。また、創刊号から70号までのバックナンバーはCD-ROM化されています。

発行所としての活動

長野郷土史研究会は、当初発行所名として使用されていましたが、その後も出版物発行所として地域の文化に貢献しています。小林計一郎氏の初期の著書をはじめ、多くの会員が研究成果を発表しています。また、支部名で地域の書籍を刊行している例もあります。

研究会が発行所として刊行した主な書籍には、以下のようなものがあります。

小林計一郎著『善光寺と長野の歴史』（1958）、『川中島の戦』（1959）、『俳人一茶』（1961）、『信濃の春秋』（1996）
関川千代丸、玉木義和著『御領内寺社制札写』（1962）
関川千代丸著『古文書・絵図目録』（1970）
霜田巌著『三輪神社とその周辺』（1968）、『近世三輪村史料集』（1972）
内田貞雄著『長野市箱清水史料集』（1975）
臼井良作著『本陣の記録』（1975）
小林済著『善光寺之碑文集』（1977）
広瀬紀子著『堀家の歴史』（1978）

また、研究会編として刊行された史料集には、以下のものがあります。

「長野市史料集」第一集『中越庚申講中人別帳』（1982）、第二集『平林若者連永代記録』（1962）
『松代藩堂宮改帳』（1962）
『長野市の筆塚』第二集（1984）
『古文書練習帳』（一～五集）

近年の著書では、「企画　長野郷土史研究会」となっているものがあります。

『門前町伝説案内　～善光寺表参道歩きの基礎知識～』小林一郎（2003年、龍鳳書房）
『善光寺縁起ものがたり』坂内直頼 著、小林一郎 訳（2009年、光竜堂）
『伝説の寺、善光寺』小林一郎・小林玲子 著（2009年、光竜堂）
『「釈迦涅槃図」と長野の絵解き―台本と解説―』小林一郎・小林玲子 著（2015年、光竜堂）
『善光寺を守る諏訪の神と御柱　 付・全国各地方の御柱一覧』小林一郎・小林玲子 著（2022年、光竜堂）

長野郷土史研究会テキストブックシリーズ

『善光寺繁昌記　―明治１０年、長野のにぎわい』長尾無墨 著、小林一郎 訳（2008年、光竜堂）
『絵解きで伝える善光寺参り　―千年前から千年先へ―』小林一郎・小林玲子 著（2015年、光竜堂）
『長野のまちと映画館　１２０年とその未来』小林竜太郎 著 （2017年、光竜堂）
『善光寺四十九霊地　―善光寺と長野の七名所―』小林一郎・小林玲子 著（2018年、光竜堂）
『善光寺の一茶　200年、句が生き続ける門前町』小林一郎 著（2018年、光竜堂）
『善光寺に手紙を送った聖徳太子　1400年の交流』小林一郎 著（2021年、光竜堂）

長野郷土史研究会は、長年にわたり長野県の歴史と文化を深く探求し、その成果を広く社会に発信し続けています。

関連事項

善光寺七福神
善光寺縁起
絵解き
小林一茶

外部リンク

長野郷土史研究会公式サイト
長野郷土史研究会青年部 - Facebook
長野郷土史研究会 - YouTubeチャンネル : ネット古文書講座を行っている。
小林玲子の善光寺表参道日記 - 副会長・絵解き口演家のブログ

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