門司亮

門司亮の生涯

門司亮（もんじ まこと、1897年12月27日 - 1993年6月1日）は、日本の政治家であり、衆議院議員を10期務めた人物です。福岡県遠賀郡岡県村（現岡垣町）で生まれた彼は、農家の二男として育ち、1912年に地元の学校を卒業した後、農業に従事しました。1915年には旭硝子株式会社の牧山工場に入社し、働き始めましたが、労働災害に遭遇し、その後は会社とのトラブルを経て解雇されるという厳しい経験をしました。

その後の彼は、1920年に横浜船渠会社に転職し、さらなる経験を積む中で労働組合活動に関与し始めました。1926年には、神奈川県の鉄工組合で教育部長に就任し、社会民衆党に入党することで政治活動も始めます。1930年代に入ると、横浜市会議員や神奈川県会議員としての地位を築き上げ、社会大衆党の一員として活躍することになります。特に横浜市での政治活動は、高く評価されていました。

戦後、1945年10月に日本社会党が結成されると、門司は即座にその一員となり、鶴見支部長に就任しました。1947年の第23回衆議院選挙で当選し、以降も長い間国会議員として活動を続けました。彼の議席は、さまざまな党派を経ながらも、社会主義的な立場を貫いていました。

門司は具体的な法律や政策形成だけでなく、地域住民との交流や労働者の権利向上にも力を注ぎました。特に記憶に残るのは、彼が鶴見朝鮮学院の開設を支援し、その土地取得条件の保証人になったことです。これにより、地域の少数民族や教育の重要性を理解し、尊重する姿勢が窺えます。

議員としての活動の傍ら、彼はさまざまな社会運動にも参加しました。特に1966年から始まった犯罪被害者補償法制定運動では、事件の被害者遺族のために力を尽くしました。この活動は、映画「衝動殺人 息子よ」のモデルとしても知られ、多くの人々に影響を与えました。

また、彼は地方政治に精通し、衆議院の地方行政委員会での活躍が評価されました。労働者としての経験を持つ門司は、地方行政の問題点を深く理解し、社会政策に対しても鋭い視点を持って取り組んでいました。彼は、非武装中立や日韓基本条約反対、日米安保無用論なども掲げ、強い信念を持った政治的なスタンスを貫きました。

1993年6月1日、門司亮は横浜市内の病院で心不全により逝去。彼の業績は、地元の政治や社会運動に留まらず、広く日本社会に影響を与えたものとして記憶されています。彼の墓所は横浜市営日野公園墓地にあり、彼の生きた足跡を今も感じさせます。さらに、著作として「戦後の地方行財制」や「農村はなぜ貧乏か」などがあり、今なお多くの人々に読まれています。

もう一度検索