閂 (錠)

閂（かんぬき）についての詳細

閂（かんぬき）は、主に扉を施錠するために用いる部材で、左右の扉や扉と枠の間に設置して開閉を防ぎます。この棒状の金物または木材は、「関木」や「貫木」とも呼ばれることがあります。閂は特に日本の伝統的な建築において重要な役割を果たしています。

構造

閂は一般的に、二箇所以上のストッパーで支えられ、その部分が「閂鎹（かんぬきかすがい）」と呼ばれています。この閂鎹は、木材や金属で作られ、扉の桟に取り付けられます。また、近世の町屋のような建物では、蔀梁から敷居にかけて取り付けられることがあり、必要に応じて取り外すことができる構造をしています。さらに、竪木に溝を入れた形で設計されることもあります。

各部の名称と構造

閂について詳しく知るためには、その各部の名称と構造を理解することが重要です。以下に主要な用語とその説明を示します。

1. 閂鎹（かんぬきかすがい）

「閂持金物」とも呼ばれるこの部品は、閂を支えるために、扉の桟に取り付けられる箱形の金具です。閂鎹の先端部分は扉の表に出ることが多く、これを隠すために饅頭金物（または乳金物）が付けられることがあります。これにより、外から見た際に美観を損なわない配慮がなされています。

2. 閂持桟（かんぬきもちざん）

閂を取り付けるための桟を指し、通常は横の部分を指しますが、場合によっては縦の桟を指すこともあります。縦桟のことは「閂摺竪桟（かんぬきずりたてざん）」または単に「閂竪桟」と呼ばれ、特に重要な構造の一部です。

3. 胴摺り（どうずり）

この用語は、扉の構造の一部を指し、特に塀重門などの扉において、閂を取り付けるための幅広の横桟を指します。「閂吊りの桟（かんぬきづりのさん）」とも呼ばれ、閂の固定を支えるための重要な部位です。

関連項目

閂について学ぶ際には、いくつかの関連用語も併せて知っておくとよいでしょう。たとえば、一般的な施錠手段である「鍵」や「カテナチオ」、最近ではリフォームや新しいセキュリティ技術として使用される「パッチン錠」などが挙げられます。これらの知識が、今後の建築やインテリアデザインの際に役立つことでしょう。

参考文献

• - 『建築大辞典』彰国社、1976年。
• - 日本建築学会 編『建築学用語辞典』岩波書店、1999年。ISBN 978-4000800945。
• - 小原 二郎、渡辺 優、所 荘吉、国吉 恵梨子『インテリア学辞典』壁装材料協会、1995年。ISBN 978-4395510450。

閂の構造や役割についての理解を深めることで、日本の伝統的な建築様式の奥深さを感じてもらえることでしょう。

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