開国博Y150

開国博Y150：横浜開港150周年を彩った博覧会とその後

2009年、横浜市は開港150周年という節目を迎えました。これを記念して開催されたのが、「開国博Y150」です。正式名称は「横浜開港150周年記念テーマイベント『開国・開港Y150』」で、横浜みなとみらい21地区を中心に、153日間にわたって開催されました。

開催の背景と概要

「開国博Y150」は、横浜の活性化策として、前身となる「近代日本開国・横浜開港150周年記念事業推進協議会」が5年間にわたる計画の一環として企画されました。会場は、ベイサイドエリア（横浜みなとみらい21地区）、ヒルサイドエリア（よこはま動物園ズーラシア周辺）、そしてマザーポートエリア（横浜駅周辺など市街地）の3エリアに分けられ、それぞれ異なるイベントが展開されました。ベイサイドエリアは4月28日から9月27日、ヒルサイドエリアは7月4日から9月27日、マザーポートエリアは年間を通して開催されました。

博報堂JVとアサツー ディ・ケイは、それぞれベイサイドエリアとヒルサイドエリアのイベント企画・制作・運営を受託しました。日産自動車、新日本石油、コカ・コーラ セントラル ジャパンなど多くの企業が協賛し、ゆずの楽曲「みらい」がテーマソングとして採用されました。

会場と主な催事

ベイサイドエリアでは、巨大クモの展示や横浜の歴史を紹介する展示、未来のエネルギーをテーマにした展示などが行われました。また、日産自動車による未来都市を体験できる展示や、スーパーハイビジョンシアターなども人気を集めました。有料入場券は、普通券、全期間入場券、夜間割引入場券が用意され、みなとみらいエリアなどの他施設の割引特典もありました。

ヒルサイドエリアでは、約9000本の竹を使った竹の海原がメイン会場となり、市民参加型のイベントや巨大バッタのオブジェ展示などが行われました。有料入場券は、普通券と全期間入場券が用意され、ズーラシア入園割引の特典もありました。

マザーポートエリアは、市街地全体が会場となり、スタンプラリーや割引制度、街歩きツアーなどが行われました。入場は無料でした。

マスコットキャラクター

開国博Y150には、2つのマスコットキャラクターがいました。「たねまる」は、横浜開港資料館のタマクスの木の精で、芽生えた種子と船をモチーフにしたデザインが特徴です。一方、「ペリー・テイトくん」は「たねまる」のライバル的存在で、黒船をモチーフにしたワイルドなキャラクターでした。

赤字問題とその後

開国博Y150は、最終的に約717万人の入場者数を記録しましたが、有料入場者数は計画を大きく下回り、約25億円（最終的には約28億円）の赤字となりました。この赤字問題により、横浜開港150周年協会とイベント関係者間で訴訟問題へと発展し、最終的には調停によって解決に至りました。市の補助金投入によって債務は処理されましたが、市民への負担という課題を残しました。

まとめ

開国博Y150は、横浜開港150周年を祝う盛大なイベントとして開催されましたが、その裏側には巨額の赤字問題という厳しい現実がありました。この博覧会は、横浜の歴史と発展、そして大規模イベント開催の難しさについて、多くを私たちに教えてくれる事例と言えるでしょう。イベントの成功の裏側には、綿密な計画と運営、そして財政面における十分な配慮が不可欠であることを改めて認識させられます。 多くの企業の協賛や市民参加によって支えられ、多くの来場者を楽しませた一方で、その事業の運営における課題も明らかにしました。 この経験は、今後の大規模イベントの企画・運営において貴重な教訓となるでしょう。

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