閑職

閑職 (かんしょく)

閑職とは、組織の中でリーダーシップや重要な職責を担わず、実質的な職務が非常に少ないポジションを指します。このような役職は、しばしば軽視され、組織内での地位を低下させる要因ともなります。

歴史的背景

イギリスにおける閑職

イギリスでは、閑職の起源は中世にさかのぼります。国王の周辺に存在した陪臣の役職がその名残とされています。しかし、官僚制度が発展すると共に、これらのポストは実質的な役割を失い、官職は存続していきました。18世紀には、こうした名目だけのポストは、政界での支持を確保する手段として広く利用されました。時が経つにつれ、こうした役職は徐々に廃止され、21世紀に入ると王璽尚書やランカスター公領大臣など、閑職に該当するポジションが存在し続けています。なお、イギリスの庶民院議員は辞任が難しいため、議員資格を喪失する官職に任命されることがあります。

中世中国の閑職

南北朝時代の中国においては、貴族政治の影響により、実務に煩わされない官職が「清官」と呼ばれ、上級貴族の間で人気を集めました。対照的に、仕事が多い官職は「濁官」と称され、主に低い身分の者が就くポストとされていました。このように、後世の「閑職」に近い地位が高く評価されたのです。

日本の閑職の歴史

日本でも閑職は時代を経て変遷がありました。江戸時代の大坂の陣後、元和偃武が宣言されると、戦闘に関する職が名目化され、閑職が急増しました。ここで一例として槍奉行が挙げられます。

現代の閑職

現代の組織において、閑職に就くことは通常、出世を目指す人にとってはマイナスとなることがほとんどです。暇な職務は長期的なキャリアのビジョンを妨げ、組織内での不祥事に関与した人物は、解雇を避けるために閑職に追いやられることがあります。また、内部告発を行った者も、報復的な意図で閑職にされることが少なくありません。さらに退職を勧奨するために、あるいは軽度の不祥事を理由に再教育として子会社に送られることもあります。

しばしば「窓際族」と表現されるこれらの人々ですが、実際には閑職であることを利用して新たな能力を鍛え、復活や出世を果たす例も存在します。著名な例には、元首相の米内光政が挙げられます。

フィクションにおける閑職

閑職は現実だけでなく、小説などでもしばしば取り上げられています。例えば、社史編纂室や庶務課といった部署が冗談混じりに描かれることがあります。

関連事項

このように、閑職は単なる無役の職ではなく、さまざまな背景や意図を持ち、その存在は社会全体に影響を与えています。関連するテーマとして、天下りや名誉職、そして窓際族など多様な現象が考えられます。

もう一度検索