間重富

間 重富（はざま しげとみ）

間重富（1756年4月7日 - 1816年4月21日）は、江戸時代に活躍した天文学者であり、彼の号は長涯（ちょうがい）です。重富は寛政の改暦において顕著な功績を残し、日本の天文学の発展に寄与しました。

生い立ちと天文学への道

重富は宝暦6年（1756年）3月8日、大坂の裕福な質屋の家庭に生まれました。彼は自宅に天体観測のための高台を設け、少年時代から天文学に熱中していました。1787年には、天学塾・先事館にて麻田剛立に学び、さらに知識を深めていきます。自ら観測機器を考案し、職人に製作を依頼するなど、独自の方法で観測精度の向上に努めました。

寛政の改暦とその後

1795年、重富は高橋至時とともに江戸に招かれ、幕府の改暦事業に参加しました。彼らは観測機器を用いて天体の運行を正確に観測し、その結果を基に「歴法新書」を編纂しました。この業績を受け、1798年には「寛政暦」が施行され、重富は幕府の天文方と同格の待遇を受け、姓を「間」に改めることが許されました。

重富はその後、大坂に戻り、英国製の高度な観測機器を導入し、天体観測や陸地測量を続けました。また、息子の間重新も天文学に関わり、一族は明治維新まで多くの観測記録を残しました。

蘭学と科学の結びつき

1788年、重富は蘭方医の小石元俊と共に、江戸へ遊学する傘職人の橋本宗吉を支援しました。橋本は関西蘭学の祖とされ、重富はこのようにして当時の町人社会における蘭学や科学のネットワークを築くことに貢献しています。

著作と観測機器

重富は多くの著書を残しています。主な著作には、数学に関する論文「算法弧矢索隠」、日時計に関する小論「易法考」、惑星運航に関する「垂球精義」などがあります。また、天球儀や渾天儀、反射式望遠鏡などの観測機器も考案し、その技術においても卓越した才能を発揮しました。

追贈と賞賛

大正8年（1919年）、重富は従五位を追贈され、その功績は後世に評価されています。彼に関する資料は「羽間文庫」として保存され、現在は大阪市の博物館や図書館で天文学史研究の重要な資料として活用されています。一部は2016年に国の重要文化財に指定されました。

記念碑

1960年、間重富が天文学観測を行った地に石碑が建てられました。碑文には「間長涯天文観測の地」と刻まれ、彼の業績を今に伝えています。後に長堀川の埋め立てにより碑は移設されましたが、その姿は現在も見ることができます。

このように、間重富は江戸時代の日本で重要な天文学者として位置づけられ、彼の業績は今日に至るまで高く評価されています。

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