関京戦

関京戦：関西学院大学 vs 京都大学、伝統のアメリカンフットボール対決

関京戦（かんきょうせん）は、関西学院大学と京都大学のアメリカンフットボール部同士が戦う、歴史と伝統のある対戦カードです。両校は関西学生アメリカンフットボールリーグのディビジョン1に所属し、常に優勝を争う強豪として知られています。京大側からは京関戦（けいかんせん）と呼ばれることもあります。

黎明期から黄金時代、そして連勝ストップへ

関西学院大学アメリカンフットボール部（鎧球倶楽部）は1941年に創部され、関西で3番目に古い歴史を持ちます。一方、京都大学アメリカンフットボール部は1947年に創部、関西で4番目の古豪です。初めての関京戦は1947年秋季リーグ戦で阪急西宮球場で行われ、関学が38-0で京大を圧倒しました。

1949年は、両校が初めて優勝を争った年として記憶されています。前年に関大と両校優勝を果たしながら甲子園ボウルに出場できなかった関学と、創部3年目の京大がリーグ戦で全勝対決。関学は主力の故障に苦しみながらも、第4クォーターに逆転し19-13で勝利、初の甲子園ボウル出場を決めました。関学は同年の甲子園ボウルで慶應義塾大学を下し初優勝。その後、リーグ戦で連勝を重ね、1951年に米田満が監督に就任すると、甲子園ボウル4連覇（1953-1956）、6年間リーグ戦無失点（1955-1960）など、リーグ史上に残る数々の記録を打ち立てました。一方、京都大学は創部3年目の快進撃以降、部員不足に悩まされ低迷。1957年にはリーグ戦を棄権する事態となりました。その後も低迷が続きましたが、1965年に水野彌一がコーチに就任し、チームの成績は徐々に向上していきました。

関学の連勝を止めたのは、他でもない京大でした。1971年にコーチの水野彌一がコロラド鉱山大学へ留学、金氏眞がヘッドコーチに就任。金ヘッドコーチはオプション攻撃を導入し、京大隆盛の基礎を築きました。1973年の関京戦で京大はトリプルオプションを初めて実戦で使用しましたが、17-0で完封負け。しかし、リーグ戦無敵だった関学は京大をライバルとして意識するようになります。1974年に米国留学から帰国した水野彌一が監督に昇格。QB宅田裕彦を中心としたIフォーメーションからのトリプルオプションで、京大は1976年の関京戦に21-0で勝利し、関学のリーグ戦連勝記録を145でストップさせました。しかし、京大はトリプルオプションを温存した関大戦に敗れたため、関学と京大が6勝1敗で両校優勝。甲子園ボウル出場をかけたプレーオフは万博記念競技場で行われ、関学が13-0で勝利し、京大の甲子園ボウル初出場はなりませんでした。

「涙の日生球場」から関京2強時代へ

翌1977年には、ついに最終節で全勝対決となる関京戦が実現しました。テレビ中継の都合上、小雨降る日生球場で行われたこの試合は、春の西日本選手権で京大が35-0で圧勝していたこともあり、京大が圧倒的に有利と見られていました。試合は前半、京大が14-7とリードしますが、関学も追い上げ、第4クォーターに関学が2ポイントコンバージョンを決め、22-21と逆転勝利しました（関学29-21京大）。この関京戦は「涙の日生球場」として語り継がれています。京大を振り切った関学は、同年の甲子園ボウルで5連覇という偉業を達成。関学は1979年に同志社大学、1980年に近畿大学と甲子園ボウル出場をかけたプレーオフを戦い、勝利。連続優勝記録を34まで更新しました。

関学の連続優勝記録を止めたのは、やはり京大でした。1978年に総監督に退いた水野彌一（監督は笹原明雄）は、1980年に監督に復帰。1981年からは監督に専任します。そして1982年、全勝対決となった関京戦を17-7で制し、京大は2回目の優勝、初の甲子園ボウル出場を決めました。一方、関学は甲子園ボウル連続出場記録が33（1949-1981）、リーグ戦連続優勝記録が34（1948-1981）でストップしました。翌1983年にも全勝対決となった関京戦を制し、京大がリーグ戦を2連覇。京大は同年の甲子園ボウルで日本大学を下し初優勝、翌年のライスボウルもレナウン ローバーズを下し、こちらも初優勝を果たしました。結局、1980年代のリーグ戦は、1982-1983年、1986-1987年が京大、1984-1985年、1988-1989年が関学と、交互に連続優勝し、「関京2強時代」を印象付けました。

関京立3強時代へ、そして2001年以降

1990年代に入ると、立命館大学が台頭してきます。1990年には、立命館大学が関学・京大に勝利しますが、立命館大学も神戸大学に敗れ、近畿大学に引き分けたため、京大が6勝1敗で優勝しました。また、この年関学は2勝4敗1分で6位に低迷しました。翌1991年には、関学と京大が6勝1敗で両校優勝。41,000人の観客を集め阪急西宮スタジアムで行われたプレーオフは関学が勝利します。翌1992年には京大は神戸大学に敗れ、関学は立命館大学に敗れ、1敗同士で関京戦を戦いました。下馬評は関学有利でしたが、京大QB金岡の活躍で京大が初のリーグ戦3連覇を決めました。1993年には全勝で関学が優勝しますが、立命館大学との対戦は22-20の辛勝でした（京大も26-22で立命館大学に勝利）。

1994年、第5節で立命館大学と対戦した京大が15-6で敗戦。第6節で対戦した関学は17-13で立命館大学に逆転負けを喫し、立命館大学の初優勝が決まりました。最終節、立命館大学は京産大戦に勝利し初の甲子園ボウル出場を決め、一方リーグ優勝が掛からない関京戦が行われ（京大が勝利）、ここに「関京2強時代」は終わりを告げ、「関京立3強時代」が始まりました。以降、リーグ戦の優勝争いは1994-1996年は京大対立命館大学（京立戦）、1997-2000年は関学対立命館大学（関立戦）を中心に展開されますが、関学・京大の底力は凄まじく、立命館大学の甲子園ボウル出場は1994年・1998年の2回に留まります。また、1996年の関京戦は京大有利の下馬評を覆して関学が勝利。リーグ史上初の関学・京大・立命館大学の3校によるプレーオフに突入しました。プレーオフでは京大が決勝で立命館大学を下して甲子園ボウル出場を決めましたが、プレーオフでの関京戦は実現しませんでした。

2001年以降も、両校は激しい戦いを繰り広げています。

（2001年以降のデータについては、省略します。原文参照ください。）

関京戦は、単なる大学スポーツの対戦を超え、両校の歴史とプライドがぶつかり合う、特別な意味を持つ一戦です。今後も、両校の熱い戦いから目が離せません。

参考文献

中尾和廣『アメフト40年戦争　男たちの関京戦』南雲堂、1988年 ISBN 4523000689

関連項目

関立戦
* College rivalry（英語版における大学対抗戦記事の日本に対する言及）

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