関城書

関城書の概要

関城書（かんじょうしょ）は、南北朝時代において北畠親房が、常陸国関郡の関城（現在の茨城県筑西市）に籠城していた際、南朝方の有力武将である結城宗広の子、結城親朝に宛てた書状を指します。この文書は約70通存在しており、中でも特に重要視されるのは、興国3年2月15日（康永元年/1342年3月22日）付のもので、親房の意図や思惟が色濃く反映されています。

背景

北畠親房は、関東地方を北朝方の足利氏から取り戻すために奮闘していましたが、結城宗広はその理想に尽力したものの、最終的には客死しました。宗広の死後、後を継いだ親朝の動向は南北両方から注目され、南朝にとっての重要な味方となる可能性がありました。そのため、親房は親朝を自らの味方に引き入れるための説得を続けていました。

内容の特徴

関城書は、格式の高い漢文で書かれており、南朝の苦境を率直に表現するとともに、日本の古代からの国体に関する論議を行っています。親房はこの文書で、朝廷に対する忠誠こそが武士の義務であると訴え、親朝に積極的な行動を促しました。このような背景から、書状は単なる手紙を超えた、政治的意図を持った重要な文書として位置づけられています。

結果と影響

しかし、親房の説得にもかかわらず、親朝は自らの領地を守り続けてきた自負がありました。そのため、所領の給付や官位の任命が朝廷にあることを主張する親房の言葉は、彼にとって失望の原因となり、最終的には北朝方に離反する結果を招きました。このような流れが、政治的な動向を大きく変えることとなり、南北朝における権力の流れに影響を与えました。

江戸時代には、関城書は『本朝通鑑』や『大日本史』に採録され、後世において南朝正統論や尊皇思想に影響を及ぼす重要な文書となりました。これにより、関城書は単なる書状を超えて、政治的、歴史的意義を持つ文書として評価されるようになりました。

参考文献

• - 内外書籍株式会社 編「関城書裏書」『新校群書類従』 19巻、内外書籍、1932年、738–741頁。doi:10.11501/1879811。NDLJP:1879811。
• - 平泉澄「関城書弁護」（『伝統』所収　至文堂　1940年1月 / 原書房　1985年5月）

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