関川宿

関川宿

関川宿（せきがわしゅく）は、かつて越後国頸城郡関川、現在の新潟県妙高市関川にあたる場所に存在した北国街道の宿場町です。

その名は、そばを流れる関川にちなんで名付けられました。この地は、関川の流域、越後と信濃の国境に近いという地理的な重要性から、古く平安時代から交通が行われていたことが知られています。

歴史と関所の役割

戦国時代になると、越後を支配した上杉氏によってこの地に早くも関所が設けられ、領地を通過する人々から通行料（関銭）が徴収されていました。

江戸時代に入ると、江戸幕府は、この地を北国街道における戦略的な要衝とみなし、上杉氏の設けた関所を引き継ぎました。そして、この関所の傍らに宿場町が整備され、旅人や物資輸送の拠点として機能するようになりました。

関川宿は、隣接する上原宿とは一体となって運営される「合宿」という形態をとっていました。宿場としては、大名などが利用する格式高い本陣が一つ、そして一般の旅人が宿泊するための旅籠が十軒備えられていました。特に、加賀藩をはじめとする北陸地方の多くの大名が、江戸への参勤交代の際にこの宿場を利用し、賑わいを見せました。

関所は、高田藩の南側の境界にあたる位置に置かれ、高田藩の領内への人や物の出入りを監視する口留番所としての役割も兼ねていました。江戸幕府は、この重要な関所の管理を高田藩に対し命じ、厳重な管理が行われていました。

「女改め」の実施

関川関所で特に厳重に行われたのが、「女改め（おんなあらため）」と呼ばれる女性に対する通行の取り調べでした。これは、江戸への武器持ち込みを厳しく監視した中山道の碓氷関所で行われた「入鉄砲（いりでっぽう）」の取り締まりと並んで、江戸幕府が定めた治安維持政策「入鉄炮出女（いりでっぽうにおんな）」において非常に重要な役割を果たしました。この政策は、特に大名の妻子などが、人質として置かれていた江戸から故郷へ無断で逃げ帰ることを防ぐ目的があり、女性の通行には厳しいチェックが行われたのです。関川関所は、北国街道を通る女性の動きを監視する重要な役割を担っていたと言えます。

終焉

しかし、明治時代を迎え、近代化を進める新政府の方針により、江戸時代の関所制度は廃止されることになります。関川関所も例外ではなく、1869年（明治2年）にその長い歴史に幕を下ろしました。

関川宿は、北国街道の要衝として、また重要な関所が置かれた場所として、近世日本の交通や社会制度を知る上で特筆すべき歴史を持つ場所であったと言えるでしょう。

参考文献

丸山雍成「関川」
『国史大辞典 15』（吉川弘文館、1996年）所収
* ISBN 978-4-642-00515-9

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