関東御公事

関東御公事（かんとうおんくじ）

鎌倉幕府が御家人に対して課していた経済的な義務である関東御公事について、以下で詳しく説明します。この制度は、鎌倉時代の政治や経済の動向と密接に結びついており、幕府の財源として機能しました。

概要

関東御公事は、御家人が様々な軍役を除いた経済的負担を指します。ただし、時には「御家人役全体」を指すこともあります。幕府にとっては重要な財源であったものの、その収入は直接幕府に入るわけではなく、さまざまな行事や公事の費用として支出されることが多くありました。この際に、御家人は工事費用などを幕府ではなく、直接工事を行う大工へ支払う形をとりました。関東御公事に関する賦課や納入の管理は、政所が担っていました。

経費の分類

関東御公事は、「恒例役」と「臨時役」に分けて理解されることが一般的です。恒例役には、正月の食事や源頼朝の法要など、幕府の年中行事に関連する経費が含まれます。一方、臨時役には、将軍の御所や寺社の造営、上洛に伴う経費、京都大番役などが挙げられます。このように、関東御公事は時代とともにその性質が変わり、元々は臨時役であったものが恒例役として定着することもありました。

さらに、関東御公事は鎌倉幕府の行事経費とそれ以外の経費に分類されることもあります。特に、幕府の成立時には「御恩と奉公」の関係において、この制度が確立されたことがわかります。

賦課の方法

御家人に対する賦課は、彼らが領有する公事田の数に基づいて行われました。公事田とは、鎌倉幕府が成立する前から存在していた、御家人の私領地に関連するもので、幕府は大田文を用いて公事田の把握に努めました。軍役とは異なり、守護が催促する権利はなく、各一族の惣領が責任を持って納入を行います。これは庶子の負担分も含まれ、後に惣領が庶子からその費用を回収します。

もし庶子がこれに応じなければ、惣領によって所領を没収されることもあり、時には倍額の徴収が行われることもありました。そのため、惣領と庶子の間で負担額の配分や別納申請を巡る争いが生じ、裁判沙汰になることもありました。

経済的困難と幕府の対策

鎌倉時代中期以降、関東御公事が増加し、御家人の経済的困窮が深刻な問題として浮上します。元寇の影響もあり、多くの御家人が領地を失うこととなりました。このような状況を受け、幕府は御家人領の流出や減少を防ぐための政策を打ち出しました。

具体的には、『御成敗式目』において月卿雲客と結婚した御家人の娘に、御家人役の負担義務を課すことが明記され、さらには御家人領の他者への譲渡や売却を禁じる法令も整備されました。それでも、御家人の経済状態は改善せず、関東御公事は幕府の基盤に影響を与える大きな要因となりました。

結論

関東御公事は、鎌倉幕府の御家人に課された重要な経済的負担であり、幕府の財政や権力構造に深く影響を与えました。その仕組みや問題は、当時の政治動向や経済状況と密接に関連しており、後の歴史への影響を考える上でも無視できない要素です。

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