関根黙庵

関根黙庵

関根黙庵（せきね もくあん、1863年（文久3年） - 1923年（大正12年）11月27日）は、明治から大正にかけて活躍した日本の演劇・演芸評論家、考証家として知られています。本名は金四郎といい、関根只誠の次男として生まれました。また、関根正直は彼の兄にあたります。

生涯と業績

黙庵は幼少の頃から江戸の軟文学や歌舞伎に深い関心を抱き、造詣が深かったことで知られています。彼は森田思軒らと共に観劇の合評を始めるなど、評論家としての活動をスタートさせました。また、劇場経営にも積極的に参加し、演劇界に深く関わりました。

しかし、1923年（大正12年）の関東大震災によって自宅が倒壊するという悲劇に見舞われました。避難生活を余儀なくされる中、屋外で寝泊まりしていたことが原因で病に倒れ、そのまま帰らぬ人となりました。彼の墓は、東京都にある染井霊園にあります。

黙庵は、評論家としての活動の傍ら、多くの著作を著しました。これらの著作は、当時の演劇や演芸の様子を伝える貴重な資料となっています。彼のペンネームとしては、「只好」や「劇童子」などが知られています。

主な編著書

『江戸花街沿革誌』(1894年)
『浮世画人伝』(1899年)
『本朝浮世画人伝』(1899年)
『本朝浮世絵名家詳伝』(1900年)
『演劇大全』(1906年)
『芸苑講談』(1914年)
『新選長唄全集』(1915年) ※小谷青楓と共編
『明治劇壇五十年史』(1918年)
『歌舞伎劇と其俳優』(1922年)
『絵入黄表紙名作集』(1922年)
『講談落語今昔譚』(1924年)
『講談落語考』(1960年)
* 『江戸の落語』(1967年)

これらの著作は、没後も復刊されており、彼の研究や業績に対する関心の高さが伺えます。特に、『演劇大全』、『芸苑講談・歌舞伎劇と其俳優』、『三遊亭圓朝子の傳 江戸の落語 講談落語今昔譚』、『講談落語今昔譚』などは、演劇研究者や演芸ファンにとって貴重な資料として、今日でも広く活用されています。

関根黙庵は、明治から大正にかけての演劇・演芸界において、評論家、考証家として多大な貢献をしました。彼の著作や活動は、日本の演劇史、演芸史を研究する上で欠かすことのできない重要な資料となっています。

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