関英雄

関英雄：日本の児童文学界を牽引した巨匠

関英雄（せき ひでお、1912年1月24日 - 1996年4月12日）は、日本の児童文学者であり、数々の名作を世に送り出したことで知られています。

生い立ちと文学への目覚め

関英雄は、電気技師の父の赴任先であった名古屋で生まれました。その後、父の転勤に伴い、茨城県潮来町や石川県尾小屋鉱山など、各地を転々としました。少年時代に小川未明の童話に触れたことがきっかけで文学者を志し、雑誌『童話』への投稿を通じて、同誌編集長の千葉省三から指導を受けるようになりました。働きながら立正商業学校を卒業後、読売新聞社、都新聞、帝国教育会出版部、日本少国民文化協会などに勤務。坪田譲治のびわの実学校にも参加しました。

作家としての道

1942年、『北国の犬』を上梓し、作家としてデビュー。戦後の1946年には、『子供の広場』（新世界社）の編集に携わりました。同年、日本児童文学者協会を創立し、1965年には理事長に就任。児童文学の発展に尽力しました。

受賞歴と晩年

1972年、『小さい心の旅』で日本児童文学者協会賞、サンケイ児童出版文化賞を受賞。さらに、『小さい心の旅』と『白い蝶の記』で赤い鳥文学賞を受賞するなど、数々の栄誉に輝きました。1984年には、『体験的児童文学史』で日本児童文学学会賞、1985年には日本児童文学者協会賞を受賞。巖谷小波文芸賞も受賞しています。1991年には日本児童文学者協会の第11代会長に就任しましたが、1996年の創立50周年記念総会を前にして逝去。児童文学界の重鎮として、その功績は今も語り継がれています。

主な作品

『北国の犬』（有光社）1942
『つばめのやくそく』（紀元社）1943
『みずうみの少年』（愛育社）1947
『星の世界へ』（ペリカン文庫）1948
『きつねのチョコレート』（講談社）1948
『わんぱく小僧』（川流堂書房）1948
『魔法の靴をはいた話』（桜井書店）1948
『うそじいさんのほんとうの話』（山川書店）1949
『リビングストン』（あかね書房、小学生伝記文庫）1952
『からすのゆうびんや』（泰光堂）1954
『児童文学論』（新評論社、教育新書）1955
『ひらがなわたなべかざん』（金の星社）1957
『おりこうわんわん しつけのどうわ』（実業之日本社）1957
『めいたんていカッコちゃん』（宝文館）1958
『荒野の星』（金の星社、西部小説選集）1959
『赤いゴンドラ』（小峰書店）1970
『白い蝶の記』（新日本出版社）1971
『小さい心の旅』（偕成社）1971、のち講談社文庫
『アリゾナの勇者』（金の星社、ウエスタン・ノベルズ）1972
『キツネが走るブタがとぶ』（童心社）1976、のちフォア文庫
『うみからきたこぼうず』（あかね書房）1978
『ひるもよるも空がもえた』（ポプラ社、絵本・すこしむかし）1980
『おにのような女の子』（偕成社）1980
『体験的児童文学史』（理論社）1984
『白ねこベルの黒い火曜日』（岩崎書店）1988
『銅像になった犬』（河出書房、日本児童文学全集）

これらの作品群は、子供たちの心を豊かに育み、世代を超えて読み継がれています。

家族

息子は思想史家の関曠野です。

関英雄は、日本の児童文学界に多大な足跡を残した、偉大な作家の一人として、その名と作品は永遠に記憶されることでしょう。

もう一度検索