関門急行線

関門急行線の概要

関門急行線（かんもんきゅうこうせん）は、日本国有鉄道（国鉄バス）、西日本鉄道（西鉄）、山陽電気軌道（山陽電軌）、および関門急行バスによって運営されていた自動車路線です。この路線は、かつての鉄道網を補完する役割を担っていました。

運行の経緯

1957年7月、国鉄バスは「国鉄自動車の基本方針」として都市間の幹線にバスを運行し、鉄道輸送の補完を図ることを決定しました。この方針をもとに、1958年3月に開通する関門トンネルを利用して、北九州と山口県・宇部地区を結ぶバス路線を設立することが計画されました。当時、鉄道は未電化であり直通運転が行われていなかったため、このバス路線によって輸送の補完と所要時間の短縮が期待されていました。

しかし、国鉄バスがこの区間に新たに路線を開設することには、他の地域バス事業者との対立がありました。防長交通や山陽電軌などが既存の営業エリアに関門国道トンネルを経由したバス路線を計画していたため、競争が激化しました。このため、1957年12月には広島陸運局で公聴会が開催され、関係各社による協議が行われました。

これを経て、民間事業者は合弁会社を設立し、国鉄バスとの相互乗り入れに合意しました。この結果、1958年2月には国鉄バス・西鉄・山陽電気軌道に対し路線の免許が与えられました。

運行開始

関門国道トンネルの開通翌日である1958年3月10日、関門急行線が山口と博多間165kmを5時間15分で結ぶ運行を開始しました。この路線では、国鉄バスが6往復、西鉄が5往復を担当し、宇部と八幡を結ぶ路線も運行されました。

同年8月には新会社「関門急行バス」が設立され、これにより関門急行線はこの会社と国鉄バスによる相互乗り入れに変更されました。国鉄バスが「鉄道線の補完」とする姿勢を示したのは1962年であり、これに基づき国鉄バスは岡山から九州までを結ぶ一貫輸送プランを検討しましたが、調整が難航し実現しませんでした。

その後、山陽本線と鹿児島本線の電化が進み、鉄道の直通運転が始まると、所要時間が短縮され、バス路線の利用者が減少していきました。1972年には運行の大幅な縮小が行われ、最終的に1977年には路線が休止、翌年には正式に廃止されました。

沿革

• - 1958年3月10日: 関門急行線、山口・博多間開業。
• - 1959年7月11日: 小野田公園通・門司大阪町間に小月町停車場を新設、これに伴い小月駅前停車場廃止。
• - 1959年8月1日: 小郡駅前、小倉駅前通の各停車場を廃止。
• - 1960年3月5日: 経路変更、宇部小串通停車場廃止。
• - 1963年1月13日: 門司駅前通停車場に改称。
• - 1971年9月1日: 停車場新設及び改称並びに廃止、一部区間で改キロ実施。
• - 1978年10月: 正式に廃止。

車両

運行開始当初、国鉄バスはリアエンジンバスのふそうR450型・R460型を導入しました。これらのバスはパワーステアリング、エアブレーキ、冷房装置、リクライニングシートを備えており、当時の最高級車両とされました。

現在の状況

現在、関門国道トンネルを通過するバスは存在しておらず、かつての急行便も利用低迷により廃止されました。2001年からは、西鉄とサンデン交通による高速バスの運行が開始されています。さらに、国鉄バス事業を引き継いだJRバスでも、博多と山口・宇部を結ぶ高速バスが運行されるようになりました。

このように、関門急行線の歴史は、地域の交通網の発展と変遷を物語る重要な1ページとなっています。

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