閻温

閻温（えん おん）

閻温（生年不詳 - 建安18年（213年））は、後漢末期の政治家。字は伯倹（はくけん）。涼州天水郡西城県（現在の甘粛省天水市）の出身。

生涯

涼州の別駕（州刺史の補佐官）として、上邽県令（じょうけい県令：県の長官）の職務を代行していた。

建安16年（211年）、潼関の戦いで曹操軍に敗北した馬超が、上邽に逃れてきた際、郡民の任養らがこぞって馬超を迎え入れたが、閻温はこれを食い止めることができず、州へと帰還した。

建安18年（213年）、勢力を盛り返した馬超によって、州庁のある冀城（きじょう）が包囲されるという事態に陥った。近隣の諸県の多くが馬超に呼応し、冀城のみが刺史の韋康（いこう）らに残された最後の拠点となっていた。閻温は、馬超残党の掃討に当たっていた夏侯淵（かこうえん）にこの危機を伝えるため、決死の覚悟で城を脱出。

包囲軍の目を欺くため、夜間に水の中を潜って城外へと脱出した。しかし、翌日にはその足跡を発見されてしまい、追っ手を受け、顕親（けんしん）の地で捕縛されてしまった。

馬超は閻温の縄を解き、籠城軍の士気を低下させるため、援軍は来ないと伝えるよう脅迫した。閻温は承諾するふりをしつつ、その言葉に反し、城外から「3日と経たぬ内に大軍が来る！」と大声で叫び、籠城軍を大いに奮い立たせた。

馬超から命が惜しくはないのかと責められるも、閻温は一切返答しなかった。馬超は冀城をなかなか陥落させることができず、閻温の変心を期待し、城内に自分に同調する者はいないかと尋ねたが、閻温はやはり沈黙を守った。

業を煮やした馬超が閻温を厳しく責め立てると、ついに閻温は口を開き、「そもそも主君に仕える者は、死んでも裏切らないものだ。私は無益に生を貪るような者ではない」と毅然と答えた。

ついに馬超は激怒し、閻温を処刑した。閻温は最後まで節を守り、主君への忠義を貫き通した。

出典

* 陳寿『三国志』巻18 魏書 閻温伝

脚注

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