阪九フェリー

阪九フェリー株式会社

阪九フェリー株式会社（Hankyu Ferry Co., Ltd.）は、福岡県北九州市門司区に本社を置いている海運企業です。この会社は、阪神地区と北九州を結ぶフェリー航路を運営しており、日本初の長距離カーフェリー事業者として知られています。阪九フェリーは、関光汽船を中心とする「SHKライングループ」に属し、新日本海フェリーや関釜フェリーとともにグループの中核を成しています。また、三和グループの一員でもあり、業務の多角化を図っています。

沿革

阪九フェリーの歴史は1964年にまで遡ります。この年、内航海運業法と内航海運組合法が成立し、長距離トラック輸送が増加する中で、運送業界は荷役作業員の人件費上昇や人手不足といった課題に直面しました。この逆風を受け、関光海運の社長である入谷豊州は「海のバイパス」構想を提唱しました。この構想では、海上輸送の近代化を目指し、トラックを丸ごと積み込むことのできるフェリーの導入を検討しました。

1968年には、神戸（魚崎） - 小倉（日明）航路が開設され、日本初の長距離カーフェリー事業が開始されました。当初は自社のトラックで運航を行い、需要の調査を経て、フェリーの利用が増えていくことを確認しました。その結果、就航から半年で黒字を達成するなど、事業は順調に拡大しました。

航路と船舶

阪九フェリーは、現在も神戸 - 新門司航路や泉大津 - 新門司航路を運航しており、それぞれの航路には複数の船舶が配船されています。具体的には、泉大津発着便には「いずみ」「ひびき」が、神戸発着便には「せっつ」「やまと」が運航しています。

これらの船舶はいずれも、旅客定員や車両の積載能力が高く、長距離フェリーのニーズに応えています。例えば、「いずみ」と「ひびき」の両船は、総トン数約15,897トン、全長195m、航海速力は23.5ノットです。特に、旅客定員を643名、トラック191台、乗用車184台の積載が可能です。

船内設備

船内には様々なクラスの客室が用意されており、高級感を求めるロイヤル・スイートやデラックス、スタンダードなど多様な宿泊形態に応じたアメニティが整っています。さらに、展望浴室、シャワールーム、売店、ゲームコーナーなどの共用施設も充実しており、乗客が快適に過ごせる環境が整っています。

社会的役割

阪九フェリーは、災害時における輸送機関としても重要な役割を担っています。具体的には、阪九フェリーと阪神地区の寄港地や福岡県の寄港地との間で災害時応援協定を結ぶなど、その社会的責任を果たしています。

総括

阪九フェリーは、近年も新造船の導入や運航ダイヤの見直しを行いながら、長距離フェリー航路のニーズに応え続けています。今後も、さらなる発展とサービス向上が期待されます。これにより、地域経済にも貢献し、海上輸送の重要な一翼を担う存在としてその地位を確立していくことでしょう。

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