阪急90形電車

阪急90形電車について

阪急90形電車は、1926年に阪急電鉄が導入した通勤型の電車です。この電車は、当時の阪急電鉄の前身である阪神急行電鉄や京阪神急行電鉄に在籍しており、今津線の旧称である西宝線の延伸に際して使用されました。

譲渡の経緯

阪急電鉄の創業者である小林一三と、後に東急を創業した五島慶太は密接な関係にありました。五島は1920年に鉄道業務に携わり始め、当初は小林から鉄道経営の知識を学びました。目黒蒲田電鉄は1924年に不要になった電車22両を譲り受けましたが、そのうちの余剰車両を他の私鉄に譲渡することとなります。

阪急電鉄は、西宝線の今津駅延長に伴い、当時の40形では輸送力が不足するため、目黒蒲田電鉄からの譲渡車両を選択しました。これにより、阪急は目黒蒲田電鉄からモハ40形を受け取ることになります。

車両概要

阪急電鉄が譲り受けたのはモハ40形45 - 50号車です。これらの車両は国鉄電車の最初期のボギー車群、「院電」と呼ばれる形式に属していました。正式な譲渡は目黒蒲田電鉄から行われましたが、実際には鉄道省から直接入線したという説もあります。入線に際し、すべての車両には両運転台化の改造が施されました。

阪急90形は、主に90 - 92号車と93 - 95号車の2つのグループに分類されます。前者は旧院電で、後者は新橋工場製のナデ6110形に由来しています。これにより、両グループで形状や設計が異なる部分が存在します。

車体の特徴

90形の車両は16メートル級のサイズで、木製の車体を持っています。屋根に明かり取りの窓があり、一般的な車体デザインが見られます。車両の妻面は、90 - 92号車が平妻3枚窓で前面幕板がゆるくカーブしており、93 - 95号車は3枚窓がゆるやかにRを描いています。車体幅も両グループで異なります。

内装では、譲渡前と変わらずロングシートが採用されていますが、袖仕切の形状は異なっています。また、天井も90 - 92号車がむき出しの垂木を使用しているのに対し、93 - 95号車は天井板が張られた形式となっています。

主要機器と改修

車両の台車は、90 - 93号車が明治45年標準形のイコライザー台車を使用し、94・95号車はアメリカ製のブリル27E2です。国鉄の狭軌に合わせ改軌工事が行われ、主電動機は狭軌用のものが流用されています。制御器はゼネラル・エレクトリック社製で、ブレーキはGE社製のJ三動弁を使用しています。

運用の変遷

90形は、1926年に阪急電鉄に導入され、最初の運用は西宝線の今津駅延長に伴いました。その後、性能向上のためにモハ700形との主電動機・ギアの交換が行われ、他の車両との整備や改造が施されていきました。戦時中は車両が制御車化され、輸送需要に応じて様々な形で運用されました。

鋼体化とその後

1952年から1953年にかけて、90形は半鋼製車体への改造が行われ、より現代的な車両として生まれ変わりました。しかし、1960年代には老朽化が進み、最後の車両が1967年に解体される運命を迎えました。89形は全体的に長い歴史を持ち、阪急電鉄の発展に貢献した重要な存在であったと言えるでしょう。

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