阪神101形電車

阪神101形電車

阪神101形電車は、かつて阪神電気鉄道が所有していた有蓋電動貨車です。元々は102形として製造されました。

概要

1914年12月の貨物営業開始に伴い、1形の総括制御改造で不要となった台車や電装品を再利用し、1915年1月から10月にかけて102 - 111の10両が梅鉢鉄工所で製造されました。

車体は一般的な電車と似た箱型で、全長は約12.3m、車体幅は約2.2m。側面の窓配置はD5D5D。塗色は黒で、側窓は白く塗られた板が使用されていました。両端の出入口には扉がなく、中央に荷物扉が設けられていました。前面は標準的な3枚窓で、トロリーポールの跳ね上がりを防ぐレトリバーが窓下に取り付けられていました。積載重量は5tでしたが、当初は7tで申請されていました。

台車は1形が使用していたブリル27-G1を使用。モーターは出力33.6kWのWH-38-Bを4基搭載し、制御器はウェスティングハウス製直接制御器WH-405Dを装備。SM-3直通ブレーキも取り付けられました。集電装置はダブルポール式で、救助網は取り付けられていましたが、連結器は装備されていませんでした。

変遷

就役後、主に定期貨物電車として使用されました。当時、沿線の魚崎や深江などの漁村で水揚げされた魚を大阪や神戸へ輸送する際、旅客電車を使用することに対する苦情が多かったため、専用の貨物電車を運行することになりました。これは、インターアーバンにおける貨物電車運行の先駆けであり、新京阪鉄道の魚菜車や、後年の近鉄大阪線の鮮魚列車、京成の行商専用車などと類似した事例と言えます。

1928年には、制御器を51形から捻出されたGEのK-40Aに換装。1929年には、有蓋電動貨車と無蓋電動貨車との間で番号を揃えるため、111と101の番号が交換され、形式と車両番号は101形101 - 110となりました。

[1931年]]に貨物営業が廃止されたことに伴い、109,110が廃車され、その台車と電装品は無蓋電動貨車の阪神111形電車114,115に流用されました。1932年のパンタグラフ化では、101~108の屋根中央にパンタグラフ]が取り付けられましたが、前後のポールはそのまま残されたため、屋根上には多くの[[集電装置が搭載されることになりました。

1933年には107,108が廃車。同年の神戸市内地下線開通に伴い、新設軌道線から併用軌道区間が消滅したため、救助網が撤去されました。

1936年には105,106が121形に改造。1938年には101が112やボギー散水車の69とともに併用軌道線への乗り入れが認可されたため、乗り入れの際には再び救助網を取り付け、集電装置をポールに取り替えて入線しました。

残った101~104は戦後まで在籍し、101は車内に脱線復旧資材を積み込むなどして救援車代用として使用されたほか、尼崎車庫の構内入換にも従事しました。102~104は休車状態で、51形の廃車体などと共に尼崎車庫の構内に留置されていましたが、1953年3月に101と共に全車廃車されました。

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