阮福源

阮福源（グエン・フック・グエン）

阮福源（グエン・フック・グエン、ベトナム語：Nguyễn Phúc Nguyên、1563年8月16日 - 1635年11月19日）は、広南国の国主であり、その治世は広南国の発展において重要な転換期となりました。父は阮潢、母は阮氏です。

生涯

1585年、阮福源はヨーロッパの海賊が沿岸を荒らし回った際、軍を率いてこれを撃退し、父から賞賛を受けました。この功績が認められ、1602年には広南営の鎮守となり、土地の開拓に尽力しました。1613年に父が死去すると、その後を継いで広南を統治し、瑞郡公と称しました。敬宗からは順化広南鎮撫、太保郡公に封じられました。阮福源は、父・阮潢の政策を継承し、鄭松が実権を握る後黎朝の支配を拒絶しました。

1615年頃、阮福源はポルトガル商人に費福の開港を許可し、彼らからヨーロッパの先進的な大砲や船舶の設計方法を学びました。費福は西太平洋における重要な貿易港として発展し、明の海禁政策により、多くの日本の商人が広南に訪れるようになりました。彼らは明の絹や陶磁器を求めて費福で交易を行いました。

1623年に鄭松が死去し、その三男の鄭梉が後を継ぐと、1624年に鄭梉は阮福源に朝貢を要求しましたが、阮福源はこれを拒否し、使者を追い返しました。1626年には、鄭梉が再び貢納を求めますが、阮福源はまたしてもこれを拒絶。これに対し、鄭梉は皇帝神宗の名のもとに御林軍を南下させ広南に侵攻、これが鄭阮紛争の始まりとなりました。4ヶ月間続いた戦役で、阮福源は御林軍を撃退し、富春を守り抜きました。

1629年、鄭梉は広南との関係改善を試み、阮福源を節制順化広南二処水歩諸営兼総内外平章軍国重事太傅瑞国公に封じ、高平莫氏討伐を迫りましたが、阮福源は陶維慈の進言に従い、しばらくしてから詔を受けました。1630年には、陶維慈に命じて長育塁を築き、領土の守りを固めました。𤅷江の南に11kmに及ぶ長城を築き、ヨーロッパ式の大砲を配備して鄭氏の侵攻に備えました。

1633年、鄭梉率いる御林軍が再度南下してくると、阮福源は阮有鎰らに迎撃を命じ、日麗江の海戦で御林軍を破りました。

1635年11月19日に阮福源は死去。次男の阮福瀾を後継に指名し、弟の阮福渓に後事を託しました。死後、大都統鎮南方総国政翼善綏猷瑞陽王と諡され、広田山に葬られましたが、後に海葛山に改葬されました。

阮福源の六世の孫である阮福濶が王を称した1744年に、顕謨光烈温恭明睿翼善綏猷孝文王と改められ、廟号を宣祖とされました。さらに、阮福濶の孫の阮福映が阮朝を建てた1806年には、熙宗の廟号と顕謨光烈温恭明睿翼善綏猷孝文皇帝の諡号を追尊され、陵は長衍陵とされました。

子女

子
阮福淇
阮福瀾
阮福渶
阮福忠
阮福安
阮福永
阮福淥
阮福泗
阮福紹
阮福栄
阮福敦
女
阮氏玉蓮 - 阮福栄に嫁した。
阮氏玉万 - カンボジア王チェイ・チェッタ2世に嫁した。
阮氏玉誇 - チャンパ王ポー・ロメに嫁した。
阮氏玉鼎 - 阮福喬に嫁した。
養女
* 阮氏玉華 - 日本商人の荒木宗太郎に嫁した。子孫には板垣退助に嫁いだ荒木絹子がいる。

阮福源は、広南国を貿易拠点として発展させ、後の阮朝の基盤を築いた重要な人物として、歴史に名を残しています。

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