阮福濶

阮福濶（グエン・フック・コアット、Nguyễn Phúc Khoát）は、1714年から1765年にかけて生きたベトナム広南国の国王であり、廟号を世宗、諡号を孝武皇帝と称されました。

カンボジアへの軍事介入

1747年、阮福濶は軍をカンボジアに派遣しました。これは、カンボジアで反乱を起こした王子を支援し、当時即位したばかりのカンボジア王アントンに対抗させるためでした。阮氏の軍はソクチャンを占領し、その勢いでカンボジアの首都ウドン城下にまで進軍しました。アントン王は、現在のキエンザン省付近で半独立国を築いていた河仙総兵の鄚天賜（マック・ティエン・トゥー、Mạc Thiên Tứ）に仲介を依頼し、ベトナムへの領土割譲と引き換えに和平を求めました。その10年後、阮福濶は鄚天賜と共にカンボジアの王子を擁立し、ウテイ2世として王位に就かせました。これにより、カンボジアは7つの省をベトナムに割譲することになり、その中にはソクチャン、チャーヴィン、カンポット、コンポン・ソムが含まれていました。

内政と民衆の不満

阮福濶の治世は、武力による領土拡大政策が特徴的でしたが、その一方で、女色を好み、民衆に重税を課したため、ベトナム南部の民衆の不満は高まりました。これらの不満は、後に西山党の蜂起を引き起こす一因となりました。

死とその後

1765年、阮福濶は死去し、長泰陵（Trường thái Lăng）に葬られました。諡号は、乾剛威断神毅聖猷仁慈睿智孝武王（Kiền Cương Uy Đoán Thần Nghị Thánh Du Nhân Từ Duệ Trí Hiếu Vũ Vương）といい、廟号は世宗（Thế Tông）とされました。彼の死後、16番目の息子である阮福淳（グエン・フック・トゥアン、Nguyễn Phúc Thuần）が王位を継承しました。

1803年、彼の孫である阮福映（グエン・フック・アイン、Nguyễn Phúc Ánh）が阮朝を建国すると、阮福濶は乾剛威断神毅聖猷仁慈睿智孝武皇帝（Kiền Cương Uy Đoán Thần Nghị Thánh Du Nhân Từ Duệ Trí Hiếu Vũ Hoàng Đế）として追諡されました。

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