阮福澍

阮福澍（グエン・フック・チュウ、Nguyễn Phúc Chú）は、1696年に生まれ、1738年に没したベトナム広南国の国王です。廟号は粛宗（Túc Tông）、諡号は孝寧皇帝（Hiếu Ninh Hoàng Đế）とされています。彼は、先代の阮福淍の次男として生まれました。

1725年、父である阮福淍が死去すると、阮福澍は王位を継承し、自ら大都統総国政宣光紹烈鼎寧王（Đại Đô Thống Thống Quốc Chính Tuyên Quang Thiệu Liệt Đỉnh Ninh Vương）と称しました。彼の治世は、周辺諸国との関係において、特に真臘（現在のカンボジア）との間で軍事的な衝突が頻発した時代でした。

阮福澍は、領土拡張政策を積極的に推し進め、1731年には真臘との戦争で勝利を収め、ヴィンロンとミトーといった重要な地域を広南国の支配下に置きました。これらの地域は、メコンデルタ地帯に位置し、農業生産が盛んな地域であり、広南国にとって重要な戦略的拠点となりました。この勝利は、広南国の勢力拡大を象徴する出来事であり、阮福澍の治世における重要な成果の一つと言えます。

しかし、彼の治世は長くは続かず、1738年に病に倒れ、この世を去りました。阮福澍は、長豊陵（Trường phong Lăng）に埋葬され、廟号を粛宗（Túc Tông）、諡号を宣光紹烈濬哲静淵経文緯武孝寧王（Tuyên Quang Thiệu Liệt Tuấn Triết Tĩnh Uyên Kinh Văn Vĩ Vũ Hiếu Ninh Vương）と贈られました。彼の死後、広南国は一時的に混乱期を迎えますが、その後の歴史に大きな影響を与えることになります。

1803年、阮福澍の子孫である阮福映（後の嘉隆帝）が阮朝を建国すると、阮福澍の功績が再評価され、宣光紹烈濬哲静淵経文緯武孝寧皇帝（Tuyên Quang Thiệu Liệt Tuấn Triết Tĩnh Uyên Kinh Văn Vĩ Vũ Hiếu Ninh Hoàng Đế）として追諡されました。この追諡は、彼が広南国の発展に貢献し、その後の阮朝の基礎を築いたという歴史的な評価を示しています。

阮福澍の治世は、広南国の発展と領土拡張に大きく貢献した時代であり、その後のベトナム史においても重要な転換期となりました。彼の積極的な領土拡張政策は、広南国の勢力を拡大し、後の阮朝の成立に繋がる重要な要素となりました。また、彼の死後、子孫によって皇帝として追諡されたことは、彼の功績が後世にまで伝えられることになった証左と言えるでしょう。

阮福澍の生涯は、広南国の歴史において、重要な役割を果たした人物として、後世に語り継がれることとなりました。

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