防火設備検査員

防火設備検査員とは

防火設備検査員は、防火設備に関する検査を行う専門家です。この職業は、建物の防火設備の定期的な点検を実施し、その結果を特定の行政庁に報告することを任務としています。この制度は、2013年に発生した福岡市の整形外科医院火災をきっかけに、建築基準法が改正され施行されたもので、住宅や民間建築物の安全を確保するために設けられました。

概要

建築基準法第12条第3項では、特に重要な防火設備についての定期検査が義務付けられています。これには、建物の安全や衛生に関わる重要な設備が含まれ、その検査は特定行政庁に報告されなければなりません。また、国や公共機関が管理する建物に関しては、すべての防火設備に対して定期的な点検が求められます。このように、社会全体の安全を守るために防火設備検査員は重要な役割を果たしています。

法律上の名称

防火設備検査員の正式な名称は「建築設備等検査員」であり、これは建築基準法に基づいて定義されています。また、講習を受講した際に交付される資格者証が必要です。この資格は、建物における防火能力の保全を担保するための重要な要素です。

受講資格

防火設備検査員の資格を取得するためには、特定の条件を満たしている必要があります。具体的には、以下のいずれかに該当することが求められます：

• - 大学で建築学、機械工学、電気工学の分野を学び、防火設備に関して2年以上の実務経験を持つ。
• - 短期大学（3年制）を卒業し、3年以上の実務経験がある。
• - 高等専門学校や2年制短期大学で該当する課程を学び、4年以上の実務経験がある。
• - 高校を卒業し、7年以上の実務経験を有する者。
• - 防火設備に関して11年以上の実務経験を持つ者。
• - 特定行政庁で2年以上、防火設備に関する業務に従事した職員。
• - 消防吏員として5年以上の経験がある者。
• - 消防設備点検資格者として5年以上の経験を持つ者。
• - 以上の条件に等しい知識または経験を有する者。

このように、受講資格は幅広く設定されており、様々な専門知識や実務経験を持つ人たちがこの資格に挑むことができます。

講習内容

防火設備検査員資格を取得するためには、専門の講習を受ける必要があります。この講習は一般財団法人日本建築防災協会が実施しています。内容は、学科講習と実技講習に分かれており、学科講習は2日間、実技は1日間で構成されています。

学科講習の内容

1. 防火設備定期検査制度総論（1時間）
2. 建築学概要（2時間）
3. 防火設備に関する建築基準法令（1時間）
4. 防火設備の維持保全に関する内容（1時間）
5. 防火設備概論（3時間）
6. 防火設備の定期検査基準（2時間）
7. 修了考査（1時間半）

実技講習の内容

• - 防火設備検査方法（3時間）

このようなカリキュラムを経て、受講者は基礎的な知識と実際の検査手順を習得し、検査員としての資格を得ることができます。

まとめ

防火設備検査員は、社会の安全を支える重要な役割を果たしています。定期的な検査を通じて、建物の防火性能を維持し、火災による損害を未然に防ぐことが求められます。この制度は、法律に基づき、適切な資格を持つ専門家によって運営されていますので、安心して暮らせる社会の実現に寄与しています。

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