防砂林

防砂林（ぼうさりん）は、飛砂（ひさ）による被害の防止・軽減を主な目的として設けられる森林です。飛砂防備林（ひさぼうびりん）とも呼ばれます。大規模に広がるものは防砂林帯（ぼうさりんたい）と呼ばれることもあります。海岸部に位置する防砂林は、特に海岸防砂林とも呼ばれます。

概要

防砂林は、その区域内への砂の侵入を防ぐことを目的としています。これは、土石流の捕捉や土砂の移動防止を目的とする砂防林（さぼうりん）とは異なる点です。例えば、鳥取砂丘の防災林は、第一に砂の移動を制限することを目的とした砂防林であり、周辺の環境と住民にとって防砂林や防風林の機能を果たしているとしても、それは二次的な効果に過ぎません。

防砂林は、砂防林や防風林と混同されることも少なくありません。しかし、防風林の機能を兼ね備えていたとしても、あくまで主目的は飛砂の防止です。それぞれの森林が持つ役割は異なり、その違いを理解することが重要です。

日本においては、公益性が高いと認められた防砂林は保安林に指定されます。保安林制度管理下の防砂林は、特に飛砂防備保安林と呼ばれ、法律によって保護されています。飛砂防備保安林は、適切な管理と保全を通じて、その機能を維持し、飛砂による被害から地域を守る役割を担っています。

防砂林は、海岸地域だけでなく、内陸部においても重要な役割を果たしています。例えば、河川敷や農地周辺に設けられた防砂林は、砂の堆積を防ぎ、土地の生産性を維持するのに役立ちます。また、防砂林は、砂漠化の進行を食い止めるための重要な手段としても注目されています。

防砂林を構成する樹種は、その地域の環境条件や目的に応じて選定されます。一般的には、乾燥に強く、根張りが良い樹種が用いられます。例えば、海岸部では、クロマツやアカマツなどがよく植えられます。また、内陸部では、ポプラやヤナギなどが用いられることもあります。これらの樹木は、飛砂を遮断し、土壌を固定する役割を果たします。

防砂林の維持管理は、地域住民や関係機関の協力によって行われています。定期的な植栽や除草、病害虫の防除など、様々な活動を通じて、防砂林の機能を維持し、その効果を高める努力が続けられています。また、近年では、地球温暖化の影響による気候変動に対応するため、より強靭な防砂林を造成する技術開発も進められています。

防砂林は、飛砂による被害から人々の生活や環境を守るために不可欠な存在です。その役割を理解し、適切に保全・管理していくことが、持続可能な社会の実現に繋がります。

関連項目

防災林（災害防止林）
保安林（防風林 / 防霧林 / 防雪林 / 雪崩防止林 / 水害防備林 / 防潮林 / 防砂林 / 砂防林 / ほか）
防音林
防煙林

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