防雪林

防雪林とは

防雪林（ぼうせつりん）は、積雪地帯において、雪害を軽減するために設けられる森林のことです。主な目的は、以下の通りです。

吹雪対策: 吹雪による吹き溜まりを防止し、交通機関や家屋への被害を軽減します。
視程障害の緩和: 風速を弱めることで、吹雪による視界不良を改善し、交通事故などを防止します。
景観形成: 雪国の景観を保全し、観光資源としての価値を高めます。

防雪林は、道路や鉄道などの交通インフラ、家屋、農地などを雪害から守る重要な役割を果たしています。

防雪林の課題

一方で、防雪林の整備には、以下のような課題もあります。

整備コスト: 植樹や維持管理に費用がかかります。
用地確保: 植樹のための土地を確保する必要があります。

近年では、これらの課題を解決するために、幅10m程度の狭帯防雪林の整備が進められています。

日本における防雪林の歴史

日本における防雪林の歴史は古く、明治時代に鉄道の雪害対策として導入されました。

日本で最初の防雪林は、1893年に当時の日本鉄道が東北本線の水沢駅・小湊駅間に植林したものです。その規模は、延べ50ヘクタールにも及びました。

このうち、野辺地駅周辺に残る防雪林は、1960年に「野辺地防雪原林」として鉄道記念物に指定されています。

また、蚕桑駅の廃止された下りホーム跡や、新鶴駅の撤去された1面1線の脇にも、防雪林が設けられています。

防雪林と都市形成

防雪林は、都市の景観形成にも影響を与えています。

仙台藩では、乾燥や季節風対策として防雪林等の植樹を城下町に奨励しました。この政策が、現在の「杜の都」としての仙台の景観を形成する一因となりました。

土木学会選奨土木遺産

野辺地駅周辺の野辺地防雪原林（青森県野辺地町）や、宗谷本線剣淵駅・士別駅間の鉄道防雪林（北海道剣淵町）は、現在、土木学会選奨土木遺産に選定されています。これらの防雪林は、日本の土木技術の歴史を伝える貴重な遺産として、保存・活用されています。

関連項目

防風林
防災林（災害防止林）
保安林（防風林 / 防霧林 / 防雪林 / 雪崩防止林 / 水害防備林 / 防潮林 / 防砂林 / 砂防林 / ほか）
防音林
防煙林
鉄道林
屋敷林
* 視線誘導施設

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