防護団

防護団の概要

防護団（ぼうごだん）は、1932年から1939年にかけて日本各地で活動していた民間の防空団体です。この団体は陸軍の統制の下、空襲による火災や災害に備えることを主な目的に設立され、民間の防空意識の醸成を図りました。防護団の構想は、1924年の関東大震災の教訓から生まれ、1930年に制定された「東京非常変災要務規約」に初めて盛り込まれました。

設立と活動の経緯

1932年、東京市は防護団の設立に向けた具体的な取り組みを始めました。地域ごとに結成された防護団には、在郷軍人会や青年団、町内会、医事衛生団体、少年団などから集まったメンバーが参加しました。その年の9月1日には、東京市連合防護団の発団式が行われました。この発団式は、震災記念日を祝う意味もあり、多くの市民が期待を寄せていました。陸軍の東京警備司令部は、民間の防空演習の計画も立て、防護団の役割を強化しました。

1933年には関東防空演習が実施され、軍人と民間人が参加する大規模なイベントとなりました。この演習はその後も毎年行われることとなり、防護団の活動の重要性をアピールする場となりました。防護団は、消防組のような法的根拠は持たなかったため、全国的な組織化はなされず、特に都市部での活動が目立ちました。

防護団の課題と解散

防護団は、防空活動を行う中で消防組との関係が問題を引き起こしました。各地域において予算の取り合いが発生し、警察と陸軍の対立も表面化しました。特に、1933年に発生したゴーストップ事件はこの対立を深刻化させ、両者が協力しづらい状況を作り出しました。

最終的に、1939年には防護団の役割が見直され、消防組に吸収される形で警防団が新たに設立されました。この変更は、防護団における指導者層が戦争の長期化に伴い不在となったことも影響しています。在郷軍人が召集され、重要なメンバーが戦争に参加する中で、防護団はその機能を維持できなくなりました。

結論

防護団は民間の防空活動を推進し、その活動を通じて多くの市民が防空への意識を高める役割を果たしました。しかし、組織の運営に関する課題や、戦争の影響による人員不足が続いたため、最終的には消防組に統合される結果となりました。このような経緯は、日本における防空体制の形成において重要な一歩であったと言えるでしょう。

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