阿久比町立図書館

阿久比町立図書館は、愛知県知多郡阿久比町にある公共図書館です。1983年（昭和58年）に開館し、以来、町民の読書活動を支える重要な拠点として親しまれています。

歴史

1980年（昭和55年）6月に図書館建設構想が打ち出され、同年10月から設計が始まりました。1982年（昭和57年）1月には建設地が決定しましたが、その場所が坂部城の空堀にかかることが判明したため、発掘調査が行われました。

1982年6月24日に起工式が行われ、翌日には坂部城の礎石と思われる遺構が発見されました。1983年3月に竣工し、同年7月18日に開館式が行われました。開館式には、阿久比町名誉町民で元愛媛県知事の久松定武氏などが来賓として招かれました。開館当時からコンピュータを導入しており、貸出や返却、蔵書管理などを瞬時に行うことができたのは、当時としては画期的なことでした。

開館時の蔵書数は25,171冊で、開館から1年間の総貸出冊数は14万2629冊、1人あたり貸出冊数は5.4冊と、非常に高い水準でした。1985年度末には蔵書数が5万冊を超え、1984年度の調査では、1人あたり貸出冊数が愛知県や中部地方の町村で1位、全国でも8位となりました。その建築とサービスの調和が評価され、1986年には日本図書館協会建築賞の特定賞を受賞しています。

1988年（昭和63年）には敷地内に安沢阿弥の句碑が設置され、1993年（平成5年）には開館10周年を記念して、NHKアナウンサーの松平定知氏による記念講演会も開催されました。

講演会

開館以来、様々な分野の講師を招いて講演会を開催しており、以下のような講演が行われました。

1987年3月: 西村滋（作家）「母恋放浪記と私」
1988年1月: 竹内弘行（哲学者）「古代中国のくらしと現代」
1990年1月: 鈴木悦通（花岳寺住職）「歴史と文学思いつくままに」
1990年3月: 小田正年（町教育長）「僕の青春と太宰治」
1991年1月: 加古栄（元中学校長）「新年トークあれこれ」
1993年2月: 中野好彦「ヨーロッパで見た教育の実状について」
1993年8月: 松平定知（NHKアナウンサー）「私の取材ノートから」（開館10周年記念講演会）
1994年1月: 永井照代「ほたるの日記によせて」
* 1994年11月: 阿刀田高（作家）「読書の楽しさ」

イベント・活動

図書館では、おはなし会、お楽しみ会、映画会など子ども向けの行事や、万葉講座、童話作法講座など一般向けの行事を開催しています。また、町民による自主的な講座も含めると、年間120～130回ものイベントが開催されていました。ヤングアダルトコーナーの設置には学生の意見を反映するなど、柔軟な運営が評価され、1992年には全国図書館大会で優秀図書館として表彰されました。

1993年には新システムを導入し、利用者用検索端末が設置されました。1993年時点では人口2万人台前半ながら年間2000万円近い図書購入費があり、町民1人あたり貸出冊数は6冊を超えていました。1996年6月には、開館以来の総貸出冊数が200万冊を突破しました。

2004年度末には蔵書数が10万冊を超え、2013年6月には「開館30周年記念図書館展」が行われました。2016年には2階の児童・親子閲覧室がリニューアルされ、母親向けの本や雑誌も置かれるようになりました。また、駐車場も拡張され、利便性が向上しました。

2015年度の蔵書数は105,326点、貸出冊数は187,509点であり、町民1人あたり貸出冊数は6.6冊でした。2016年3月時点の蔵書数は約10万4000冊、年間来館者数は約9万人でした。

立地・施設

図書館は名鉄河和線坂部駅から南西に300m、坂部城址のある城山公園の中腹に位置しています。周辺には津嶋神社や最勝寺、阿久比町立城山保育園などがあります。図書館の西500mには、阿久比スポーツ村があり、体育施設も充実しています。

建物の設計は岡設計が担当し、城址にふさわしい和風建築となっています。瓦屋根は緩やかな傾斜で、かつての城を彷彿とさせます。建物は丘の斜面に建てられており、2階が主階となっています。1階には学習室、視聴覚室、閉架書庫などが、2階には一般開架室、閲覧室、参考資料室、児童閲覧室、展示ホールなどがあります。各部屋には大きな窓があり、開放的な空間となっています。蔵書収容能力は10万冊です。

利用案内

知多半島5市5町（阿久比町・東海市・大府市・知多市・半田市・常滑市・東浦町・武豊町・美浜町・南知多町）は広域貸出制度を設けており、5市5町に在住、在勤、在学している方は貸出登録が可能です。

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