阿修羅城の瞳

概要

『阿修羅城の瞳』（あしゅらじょうのひとみ）は、劇団☆新感線が誇る演目であり、その正式タイトルは『阿修羅城の瞳 BLOOD GETS IN YOUR EYES』です。この作品はかずき悠大（現在の中島かずき）によって創作され、いのうえひでのりの演出により3度にわたって上演されてきました。

同様の「いのうえ歌舞伎」シリーズには、『スサノオ』や『髑髏城の七人』などがあり、ジャンルを超えたファン層を形成しています。初演は1987年に行われ、当時の人気女優白石恭子の引退作品として上演されました。この作品は長い間再演がなされず、再び舞台にかけられたのは2000年のこと。主役には市川染五郎が選ばれ、松竹のサポートを受けて大阪と東京で成功を収めました。続く2003年の再演では、全ての配役を変更し、さらに多くの観客を動員しました。

この作品は、小劇場の特性に加え、歌舞伎の演出技法や古典的な演目へのオマージュを取り入れることで、幅広い演劇ファンを引き寄せる魅力を持っています。特に、四世鶴屋南北の『東海道四谷怪談』へのオマージュが話題を呼び、多くの観客を惹きつけました。

また、2005年には滝田洋二郎監督により映画化され、全国の松竹系列で公開されました。この映画化では日本初となる著作権信託による映画ファンドが注目を集め、主演の市川はこの作品を通じて映画初主演の場を得、いくつかの映画賞を受賞しました。

あらすじ

舞台は文化文政の時代、江戸の町は隠れた鬼たちによって恐れられる魔の世界となっています。幕府は鬼を退治するために「鬼御門」を設立し、十三代目安倍晴明がその指揮を執っています。物語の中心には病葉出門（わくらばいずも）がいます。彼は五年前の事件を契機に鬼御門を辞め、四世鶴屋南北の元で修行を始めた過去を持つ男です。

ある日、彼は鬼御門の副隊長である安倍邪空に追われる女盗賊「闇のつばき」と出会い、彼女を匿うことになります。この出会いから、出門とつばきの悲劇的な恋物語が展開され、尼僧姿の鬼である美惨が「鬼たちの救世主」となる阿修羅の復活を告げることで、物語はさらに深まります。

果たして、彼らが直面する運命とは一体何なのか、阿修羅の正体は明らかになるのでしょうか。

上演歴

• - 初演 (1987)

- 日程: 1987年5月7日 - 5月10日
- 場所: 阪急ファイブ・オレンジルーム
- 作: かずき悠大
- 演出: いのうえひでのり
- 主なキャスト: 古田新太（病葉出門）、白石恭子（闇のつばき）

• - 再演 (2000)

- 日程: 2000年8月3日 - 8月12日 （大阪）
- 日程: 2000年8月17日 - 8月27日 （東京）
- 主なキャスト: 市川染五郎（病葉出門）、富田靖子（闇のつばき）

• - 再々演 (2003)

- 日程: 2003年8月8日 - 8月30日 （東京）
- 日程: 2003年9月6日 - 9月28日 （大阪）
- 主なキャスト: 市川染五郎（病葉出門）、天海祐希（闇のつばき）

映画化

2005年4月16日、『阿修羅城の瞳』は映画として公開され、話題を呼びました。市川染五郎が主演を務め、美術監督・林田裕至が手がけるアジア風の江戸描写が特徴です。この映画は多くのメディアで取り上げられ、作品の魅力を新たに広めました。

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