阿値賀島

阿値賀島（あぢかじま）

阿値賀島は、長崎県平戸市早福町の西方約4kmの海上に浮かぶ、上阿値賀島と下阿値賀島の二つの無人島を合わせた総称です。総面積は約32ヘクタール。

地理的特徴

平戸市の西方に位置し、2つの島から構成されています。島の周囲は柱状節理による断崖絶壁に囲まれており、容易な上陸を阻んでいます。そのため、人為的な影響が極めて少なく、手つかずの自然が残されています。

自然環境

阿値賀島の最大の特徴は、島全体を覆う原生林です。海抜50mの山頂付近には、ナタオレノキ、アコウ、ビロウなどの亜熱帯性植物が繁茂しており、亜熱帯性植物群落の北限を代表する貴重な存在となっています。これらの植物は、温暖な気候を好むため、この地域が特異な環境であることを示しています。

また、阿値賀島は野鳥の繁殖地としても重要な役割を果たしています。特に、カラスバトやオオミズナギドリなどの海鳥にとっては、安全な繁殖場所であり、多くの個体が島で繁殖を行います。これらの鳥類は、生態系の中でも重要な位置を占めており、その保護は生物多様性の維持に不可欠です。

保護指定

阿値賀島の自然環境の重要性から、以下の指定を受けています。

西海国立公園特別保護地区: 1956年（昭和31年）3月16日に指定され、優れた自然景観を保護するための措置が講じられています。
天然記念物（日本国指定）: 1976年（昭和51年）9月17日に、島全体が国の天然記念物（天然保護区域）として指定されました。これは、阿値賀島の特異な自然環境と生態系が、学術的に非常に価値が高いと認められたことを意味します。

これらの指定により、阿値賀島の自然は厳重に保護されており、開発行為や環境破壊から守られています。未来の世代にこの貴重な自然遺産を引き継ぐために、適切な管理と保護が不可欠です。

阿値賀島は、その特異な地形と豊かな自然環境から、学術的にも非常に価値の高い島です。原生林や野鳥の繁殖地としての重要性に加え、手つかずの自然が残されている点も、他に類を見ない魅力となっています。しかし、無人島であるため、観光客が訪れることはほとんどなく、その静寂が、より一層、島の自然の神秘性を際立たせています。

関連情報
* 阿値賀島 | 長崎県平戸市 平戸観光協会

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