阿刀田令造

阿刀田令造（あとうだ れいぞう）

阿刀田令造は、1878年（明治11年）に宮城県名取郡下増田村（現在の名取市）で生まれ、1947年（昭和22年）に没した日本の西洋史学者、教育者です。父は下増田村初代村長の阿刀田義潮。

学歴と研究

宮城県仙台第一中学校（現：宮城県仙台第一高等学校）を卒業後、1902年（明治35年）に第二高等学校（現：東北大学）に入学。その後、東京帝国大学、京都帝国大学法学部へと進み、西洋学に深い関心を抱きました。東京帝大在学中は、真宗大谷派僧侶の近角常観が主宰する求道学舎に寄宿し、学問に励みました。

教育者としての貢献

1910年（明治43年）、第二高等学校の教授に就任。1932年（昭和7年）には第9代校長に就任し、1943年（昭和18年）までその職を務めました。校長在任中は、徹底した教育方針が高く評価され、後世に名校長として名を残しました。

郷土史研究への情熱

教育者としての活動と並行して、郷土史研究にも力を注ぎました。1930年（昭和5年）には、宮城県で「仙台郷土研究会」を創設し、地域文化の発展に貢献しました。また、校長を退任後の1946年（昭和21年）には、仙台市公民館館長に就任し、地域社会の教育にも尽力しました。

親族

阿刀田令造の次男である阿刀田研二は生物学者として、二高教授、東北大学教授を経て、東北大学名誉教授となりました。三男の阿刀田徹三は無機固体化学を専門とする化学者で、関東学院大学教授、神奈川大学教授を歴任しました。その長男である阿刀田央一は東京農工大学教授です。また、娘婿には、工学者で名古屋工業大学学長の佐藤知雄、原子物理学者で新潟大学教授の彦坂忠義がいます。作家の阿刀田高は甥にあたります。

著書

阿刀田令造は、西洋史研究の成果をまとめた著作を多数発表しています。

『西洋歴史講義』啓成社 1906－07
『世界史評論』興文社 1919
『西洋史概説』六合館 1925
『西洋史論』文修堂書店 1928
『郷土誌漫筆』仙台郷土研究会出版部 1936
『二高を語る』第二高等学校共済部 1937
『郷土ものと紀行』仙台郷土研究会 1939
『仙台城下絵図の研究』斎藤報恩会 c1937
『郷土人として』仙台郷土研究会出版部 1940
『続・郷土人として』仙台郷土研究会出版部 1940
『続々　郷土人として』仙台郷土研究会出版部 1943
『郷土の飢饉もの』編　仙台郷土研究会出版部 1943
『郷土飢饉の研究』仙台郷土研究会 1948
『郷土誌漫筆』歴史図書社 1977

資料

東北大学史料館には、「阿刀田令造文書」として、日誌、手帳、自筆原稿などが保存・公開されており、研究者はこれらの資料を通じて、阿刀田令造の生涯や業績についてさらに深く知ることができます。

阿刀田令造は、西洋史研究、教育、郷土史研究の分野で多大な功績を残し、その業績は今日でも高く評価されています。

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