阿史那懐道

阿史那懐道（生没年不詳）は、西突厥の可汗であり、阿史那斛瑟羅の子として生まれました。彼は唐朝において右屯衛大将軍、光禄卿、太僕卿、十姓可汗、濛池都護といった重要な役職を歴任しました。

生涯

父である左衛大将軍兼平西軍大総管の阿史那斛瑟羅が亡くなると、武周（則天武后）は懐道を右武衛将軍に任命しました。これは、唐朝が彼の家柄と軍事的な才能を高く評価していたことを示しています。

長安4年（704年）には、武周は懐道を十姓可汗・濛池都護に任命しました。十姓とは、西突厥を構成する主要な部族を指し、濛池都護は、その地域を統括する重要な役職でした。この任命は、懐道が西突厥における唐の権益を代表し、地域全体の安定を維持する役割を担っていたことを意味します。

神龍年間（705年 - 707年）には、懐道はさらに右屯衛大将軍、光禄卿、太僕卿、十姓可汗、濛池都護といった数々の役職を兼任することになりました。これは、彼の政治的地位と影響力が一層強化されたことを示しています。彼は軍事、経済、外交の各分野において重要な役割を果たし、唐朝と西突厥の関係を安定させることに貢献しました。

懐道が亡くなると、彼の息子である阿史那昕が後を継いで十姓可汗となりました。これにより、阿史那氏の地位は西突厥において確固たるものとなり、その後も唐との良好な関係が維持されました。

子女

阿史那昕 - 十姓可汗・開府儀同三司・濛池都護。父の跡を継ぎ、西突厥の統治者として活躍しました。
交河公主 - 蘇禄の妻。唐朝と西突厥の関係を強化するための政略結婚であったと考えられます。

まとめ

阿史那懐道は、西突厥の可汗として、唐朝との関係を維持し、地域全体の安定に貢献しました。彼の功績は、唐朝の辺境政策において重要な役割を果たし、その後の歴史に大きな影響を与えました。彼の生涯は、唐と西突厥の関係を理解する上で欠かせない要素であり、その業績は今日でも高く評価されています。

参考資料

『旧唐書』列伝一百四十四下 突厥下
『新唐書』列伝一百四十下 突厥下
* 佐口・山田・護訳注『騎馬民族誌２正史北狄伝』（1972年、平凡社）

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