阿史那賀魯

阿史那賀魯（アシナ・カロ）：西突厥の可汗、その生涯と唐との関係

阿史那賀魯（生年不詳 - 659年）は、7世紀の西突厥において重要な役割を果たした人物です。彼は沙鉢羅可汗を号し、西突厥の再興を目指しましたが、唐との関係の中で翻弄され、最終的にはその軍門に下りました。以下に彼の生涯を詳細に解説します。

生い立ちと唐への帰順

阿史那賀魯は、西突厥の室點蜜可汗の五世の孫にあたる曳歩利設射匱特勤（阿史那劫越）の子として生まれました。639年、莫賀咄葉護の阿史那弥射が唐に亡命し、阿史那歩真もこれに続き唐に帰順したことで、阿史那賀魯は乙毘咄陸可汗によって葉護に任じられ、タラス川流域に拠点を構えることになります。彼は処密・処月などの五姓の衆を統括し、勢力を拡大しました。

648年、阿史那賀魯は自らの部落を率いて唐に内属し、太宗の詔によって庭州に居住。左驍衛将軍・瑤池都督に任じられ、高宗の即位後には左驍衛大将軍に昇進しました。

背反と西域における勢力拡大

しかし、651年、阿史那賀魯は子の阿史那咥運とともに再び西へ逃れ、乙毘咄陸可汗の故地に拠って西域諸郡を掌握。雙河と千泉に牙を建て、自ら沙鉢羅可汗と号し、咄陸・弩失畢の十姓を統率しました。彼は10万の兵を擁し、西域諸国を従え、阿史那咥運を莫賀咄葉護に任じて西蕃諸部を侵略するなど、再び唐に敵対する姿勢を鮮明にしました。

唐との戦いと最期

唐は阿史那賀魯の勢力拡大を黙認せず、652年に梁建方・契苾何力を派遣して討伐。657年には蘇定方を総大将とする討伐軍を派遣し、阿史那弥射・阿史那歩真を安撫大使としました。蘇定方は阿史那賀魯軍を各地で破り、本営を突き、伊麗河を渡って逃走する阿史那賀魯を追撃しました。

最終的に阿史那賀魯は石国の蘇咄城付近で捕らえられ、京師に連行。高宗は彼の死罪を免除しましたが、659年に失意のうちに没しました。彼の死後、唐はその種落を分割し、崑陵・濛池の2都護府を置いて西域を支配下に置き、阿史那賀魯の勢力は完全に終焉を迎えました。

阿史那賀魯の生涯は、7世紀の東アジアにおける国際関係、特に唐と西突厥の関係を象徴する出来事として、歴史に深く刻まれています。

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