阿寺川 (長野県)

阿寺川の魅力と自然環境

阿寺川（あてらがわ）は、長野県木曽郡大桑村を流れる木曽川水系の一級河川であり、約20kmの流れを持つ主要な支流です。この川は、阿寺渓谷と呼ばれる美しい深い谷を形成しており、その絶景は「阿寺ブルー」と称される美しいエメラルドグリーンの水面を持っています。全域で見られるこの渓谷の美しさは、多くの観光客を惹きつけています。

源流と流路

阿寺川の源は御嶽山に近い阿寺山地にあり、井出ノ小路山と奥三界岳が水源となっています。この川は北沢峠を起点に流れ出し、阿寺山と砂小屋山の間に深い谷を形成しながら東へ進みます。最終的には木曽川の読書ダム湖に合流します。特に阿寺渓谷は、木曽川への合流点から約16-18kmにわたって連なる美しい地形で、訪れる人々に雄大な自然を提供しています。

阿寺渓谷の特徴

この渓谷は最大1000mの落差を持つ花崗岩地帯で形成され、活断層（阿寺断層）に沿って延びています。渓谷内には、透明度の高い清流によって磨かれた深淵がいたるところにあり、「犬帰りの淵」、「狸ヶ淵」、「牛ヶ淵」といった名で親しまれています。

また、阿寺川の支流である大沢には高落差を誇る大沢大滝（80m）や南沢大滝（150m）も存在し、これらも訪問者にとっての見どころとなっています。近年、マスコミによる露出が増えたことから多くの観光客が訪れるようになりましたが、来訪者の増加に伴うゴミ問題も深刻化しています。このため、大桑村ではマイカー規制が実施され、シャトルバスが運行されています。

自然環境

阿寺川流域は暖地植物が豊富で、様々な昆虫や希少な動植物が生息する生態系が存在します。具体的には、バイカオウレンやダンコウバイなどの植物が確認されており、水質も良好です。特に、ヤマトイワナやアマゴ、ウグイなどの魚類が生息していて、釣り愛好者にも人気のスポットとなっています。

また、流域の山林は「木曽五木」と呼ばれるヒノキやサワラが生い茂る自然林が広がっており、国有林として保護されています。このなかには、伊勢神宮の神宮備林に指定された5400haを超える森林も含まれています。

歴史的背景

阿寺川一帯にはかつて阿寺軽便鉄道が通っており、これは日本最古の森林鉄道とされていました。この鉄道は1901年に設置され、木材を供給するために運行されていましたが、今は鉄道の跡が残るのみです。特に、「第一阿寺川橋梁」はその歴史的価値から林業遺産として評価されています。

レジャーと観光

阿寺川の美しい風景は四季折々の生い茂る植物とのコントラストが魅力で、春にはツツジ、秋にはモミジが観光客を楽しませます。また、一部には整備された遊歩道があり、北沢合流地点近くにはキャンプ場も設けられています。一般の車両はこのあたりから先には進めないため、静かで自然の中で過ごしたい方にはとても良いスポットです。自然の美しさを楽しむために、ぜひ訪れてみてください。

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