阿射加神社

阿射加神社について

阿射加神社（あざかじんじゃ）は、三重県松阪市にある神社で、同名の神社が2つ存在します。この2社はいずれも伊勢国壹志郡の式内社であり、古い時代から地域の信仰の中心として崇敬されてきました。

概要

『延喜式神名帳』には「阿射加神社三座」と記されており、現存する2社には松阪市小阿坂町の阿射加神社と大阿坂町の神社が該当します。両社は松阪平野と阿坂山の東麓に面して位置し、信仰の面でも共通点が多く見受けられます。これらは近世まで「龍天明神」としても知られ、地域社会に深く根付いた存在です。古い文献によれば、元々は阿坂山の山上に存在していたとされ、その後に山麓へ遷座したとも言われています。この遷座先を小阿坂とするのか大阿坂かについては諸説があり、また各神社にはそれぞれ祭られる神も異なることから興味深い議論が展開されています。

当地域は伊勢神宮の外宮の御厨であったことから、祭神の由来に関しても多くの論考がなされています。1339年の記録には、当時の神領目録の中に「大阿射賀御厨」と「小阿射賀御厨」が確認できるため、両社ともにこの地域に鎮座されていた神々としての重要な役割を果たしていたと考えられています。

祭神

阿射加神社の祭神は、現在、猿田彦大神、伊豆速布留神、竜天大神の3座です。『皇太神宮儀式帳』や『倭姫命世記』には、阿射加神社にまつわる神話が記されており、その中には阿倍大稲彦命が悪神を平定したことや、倭姫命が関与した神社創建の物語があります。

このような神話の中で、当神社の祭神は過去の神々から水に関連する神の信仰へと進化してきたとされており、龍天明神という俗称もその背景にあるようです。また、祭神は3座とされることが多く、これは猿田彦神の3つの御魂として解釈される場合が一般的とのことです。

歴史と神事

創立についての記録は時代によって異なり、永禄年間（1558-70年）に山上から遷座したとも、応仁の乱の影響で北畠氏によって移されたとも言われています。また、明治41年（1908年）には村社に列格され、以降、神社本庁に属しています。

神社では毎年、御火試神事や粥試神事が盛大に執り行われ、この神事は地元の人々の生活に密接に関わっています。さらに、かんこ踊りも行われ、これは豊作を祈願する伝統行事として地域に根付いています。

社殿と境内社

阿射加神社の本殿は3つの殿に分かれており、いずれも特徴的な切妻造りの建物です。境内には、大若子神社や数々の境内社が存在し、各神社にはそれぞれの神々が祭られ、地域の信仰が色濃く反映されています。

特に、境内の阿射加神社社叢は、多くの種類の木々が生い茂っており、それ自体が地域の自然や文化を象徴する貴重な文化財として認識されています。

まとめ

阿射加神社は、歴史的な背景を持つ神社であり、その祭神や儀式において地域の人々に重要な役割を果たしています。今後もこの地に根付いた信仰が守られ続けることが期待されています。

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