阿波富田藩

阿波富田藩（あわとみだはん）は、江戸時代中期に徳島藩の支藩として存在した新田藩です。延宝6年（1678年）に、徳島藩5代藩主である蜂須賀綱矩（はちすか つなのり）が、その一族である蜂須賀隆重（はちすか たかしげ）に5万石を分知したことによって立藩しました。

初代藩主となった隆重は、徳島藩2代藩主・蜂須賀忠英（はちすか ただてる）の次男であり、これにより阿波富田藩は徳島藩の支藩としての位置づけとなりました。藩の成立当初から、徳島藩との関係は密接であり、その影響を強く受けていました。

阿波富田藩は、初代・隆重、2代・隆長（たかひさ）と続きます。しかし、3代目の藩主である蜂須賀正員（はちすか まさかず）の時代に転機が訪れます。正員は徳島蜂須賀宗家の嫡子となったため、阿波富田藩の所領を宗家に返納することになり、享保10年（1725年）に廃藩となりました。

阿波富田藩は、その短い歴史の中で、徳島藩との関係性を色濃く反映した藩でした。新田藩としての独立性は持ちながらも、宗家の影響下にあったことが、その後の藩の運命を左右したと言えるでしょう。特に、3代で廃藩となった背景には、宗家である徳島藩の家督争いが影響していたと考えられます。

阿波富田藩は、その短い期間ではありましたが、阿波国の歴史において重要な役割を果たしました。藩の成立と廃止、そして徳島藩との関係は、江戸時代の藩政や大名家の事情を理解する上で、興味深い事例を提供しています。

歴代富田藩主

蜂須賀家
譜代 5万石 （1678年 - 1725年）

1. 隆重（たかしげ）：2代藩主蜂須賀忠英の次男
2. 隆長（たかひさ）
3. 正員（まさかず）：宗家相続

もう一度検索