蜂須賀忠英

蜂須賀忠英

蜂須賀忠英（はちすか ただてる）は、江戸時代初期の阿波徳島藩第2代藩主です。

生涯

慶長16年（1611年）に初代藩主・蜂須賀至鎮の嫡男として生まれました。幼名は正鎮と名乗り、後に徳川秀忠から偏諱を賜り、忠鎮、さらに忠英と改名しました。

元和6年（1620年）、父・至鎮の死去に伴い藩主を継ぎましたが、まだ幼かったため、祖父である蜂須賀家政が後見を務めました。元和9年（1623年）に元服し、従四位下阿波守に叙任されました。

藩主として、寛永2年（1625年）に藍方役所を設置し、阿波特産の藍の流通を統制しました。寛永8年（1631年）には、稲田示植を淡路由良城代、次いで洲本城代に移し、淡路支配の体制を確立するとともに、要所である脇を直轄地としました。寛永9年（1632年）には、腹心である蜂須賀玄寅と長谷川貞恒を仕置家老に任じ、藩政を担わせました。

また、父・至鎮が定めた御壁書二十三箇条を補完する裏書七箇条を発布し、農民統制を強化しました。

慶安5年（1652年）4月に42歳で死去し、跡を長男の光隆が継ぎました。

海部騒動

寛永10年（1633年）に、海部郡を領していた江戸家老の益田長行が禁制を破り、山林の木を伐採して江戸で売ろうとしたことが発覚し、領地を没収されました。長行はこれを恨み、正保2年（1645年）までに「忠英が幕府禁制を破り大船を建造し、さらにキリシタンへの宗門改めを怠っている」と幕府に訴えました。正保3年（1646年）、幕府は長行と長谷川貞恒を対決させましたが、長行の訴えは虚偽と判断され、長行は忠英に預けられ、阿波への移送中に病死した（または江戸屋敷で斬刑に処された）と伝えられています。この事件は海部騒動と呼ばれています。

人物

藍の流通統制や淡路支配の体制を築くなど、藩政の基礎を固めました。
農民統制を強化し、藩の財政基盤を安定させました。
海部騒動では、冷静な対処で藩の危機を乗り越えました。

家族

父：蜂須賀至鎮
母：敬台院 - 徳川家康の養女、小笠原秀政の娘
正室：齢昭院 - 小笠原忠真の養女、小笠原忠脩の娘
長男：蜂須賀光隆
次男：蜂須賀隆重
側室：高田正治の娘
四男：蜂須賀隆矩
側室：天瑞院 - 豪商・細谷伊右衛門の娘
三男：蜂須賀石松
五男：蜂須賀隆喜
娘：清姫（喜与姫） - 稲田稙儀正室

参考文献

『蜂須賀家記』
村川浩平「蜂須賀氏への『松平氏下賜状』とそのライフサイクル」『日本近世武家政権論』日本図書刊行会、2000年。

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